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牛飼養農家構造調査結果を公表
EU統計局は、99-2000年におけるEUの農家構造調査結果を先ごろ公表し た。これによると、酪農経営において加盟国間の飼養規模の差が依然として大 きい。 EU全体では、99−2000年において、5,902万頭(家畜単位換算)の牛が約 153万戸の農家によって飼養されており、このうち牛の飼養頭数規模が20頭( 家畜単位換算)以下のものが約半数を占めている。また、農家の約6割の89万 9千戸が条件不利地域に立地している。 なお、家畜単位とは、家畜の飼料要求量を基に定められているもので、家畜 全体の飼養頭数の比較に用いる係数。牛の場合は以下の通り。 1歳未満 :0.4 1歳以上2歳未満の雄および雌:0.7 2歳以上 雄 :1 未経産雌牛:0.8 搾乳牛 :1 その他の雌:0.8 酪農家の頭数規模差が依然として大 乳用経産牛はEU全体で73万戸の経営により2,057万9千頭が飼養されてお り、1酪農家当たりの飼養規模が大きいのは、イギリス(73頭)、デンマーク (57頭)、オランダ(47頭)の順となっている。 一方、オーストリア、ポルトガル、ギリシャは小規模であり、イギリスの8 分の1から6分の1の規模である。 なお、ドイツの乳用経産牛の飼養頭数はEUで最大(476万5千頭)であるが 、平均飼養規模は31頭である。フランスはドイツに次ぐ419万3千頭を飼養し、 平均飼養規模は33頭である。 酪農家の生産構造を国ごとに見ると、乳用経産牛飼養頭数規模が50頭以上の 飼養戸数が、総飼養戸数に占める割合が高いのは、イタリア(66%)、ルクセ ンブルグ(59%)、オランダ(53%)である。また、50頭以上層における飼養 頭数が、総飼養頭数に占める割合は、イタリアが87%、ルクセンブルグが78% 、オランダ72%となっており、大規模酪農家に頭数が集中していることがうか がえる。 一方、ドイツおよびフランスで20頭未満層の飼養戸数が総飼養戸数に占める 割合は、それぞれ63%、89%となっているが、同層における飼養頭数が総飼養 頭数に占める割合は、ドイツが27%であるのに対し、フランスでは71%と対照 的である。
EUの乳用経産牛農家戸数(99−2000年) (千戸、千頭、頭、%)
◎ EU農相理事会、成長促進用抗生物質の飼料添加使用を管理する規則案を承認 EU農相理事会は7月22日、2002年3月にEU委員会から提案されていた 「成長促進用抗生物質の飼料添加物としての使用管理に関する規則」を承認し た。この規則は今年後半に施行される予定である。 EUでは、既にヒトに使用される抗生物質の家畜飼料への添加使用が禁止さ れている。また、成長促進用抗生物質の飼料への添加使用については、規則の 改正ごとに使用が承認されているものが削減されてきており、現在では4つの 成長促進用抗生物質のみが飼料への添加使用が認められている。今回の規則に より、今後新たな成長促進用抗生物質の飼料への添加使用の承認を得る場合に は、その添加使用期間が10年間に、また、現在使用が認められている4つのも のについては、7年間に限定される。この期間を超えて添加使用を続ける場合 には、再度承認手続きを経ることが必要となる。
【ブラッセル駐在員 関 将弘 7月23日発】
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