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新たに清浄地域が認定される 5月18日から23日にパリで開催された第71回国際獣疫事務局(OIE)総会にお いて、ブラジル北部のロンドニア州やコロンビアの一部の地域が、新たに口蹄疫ワ クチン接種清浄地域として認定された。また、OIE動物疾病科学委員会(旧称: 口蹄疫その他疾病委員会)は5月22日、ウルグアイの口蹄疫ワクチン接種清浄国へ の復帰を決定した。 ブラジルの牛飼養頭数の84%が清浄地域に ブラジルは2005年12月までの口蹄疫撲滅を目指し、全国を南部、中西部、東部、 北部、および北東部の5畜産圏に分割した口蹄疫撲滅計画を実施している(本紙 通巻第543号を参照)。このうち、これまでのOIE総会で、南部、中西部、東部 の13州と1連邦区がワクチン接種清浄地域に認定された。ブラジル農務省による と、同国における清浄地域の牛飼養頭数(水牛を含む)は、今回新たに認定され た北部のロンドニア州(約861万頭)を含めると、約1億5,355万頭となり、これ は全飼養頭数の約84%に相当する。 コロンビアでも清浄地域が拡大 コロンビア畜産連盟(FEDEGAN)によると、これまでのOIE総会で、97 年にチョコ県北西部がワクチン不接種清浄地域に、2001年にコスタアトランティカ 地方、アンティオキア県(一部の地域を除く)、およびカルダス県北部がワクチン 接種清浄地域に認定された。また、コロンビア農業省は、今回のOIE総会で、ア ンティオキア県ネコクリ市に加え、ボリバル、セサル、ノルテデサンタンデル、お よびサンタンデルの4県に属する90市町村がワクチン接種清浄地域に認定されたと している。同省によれば、同国における清浄地域の牛飼養頭数は、今回新たに認定 された地域を含めると、約1,040万頭となり、これは全飼養頭数の4割強に相当する と推定される。 米国がウルグアイ産の牛肉輸入を解禁 ウルグアイは、2001年4月の西部ソリアノ県での口蹄疫発生により、ワクチン不 接種清浄国のステータスを失ったが、その後、全国規模のワクチン接種計画が実施 されたことなどから、同年8月21日を最後に新たな発生はなく、今回、ワクチン接 種清浄国のステータスを回復した。 同国の牛肉産業は、牛肉生産量の約6割を輸出に向ける輸出依存型の構造となって おり、2001年4月の口蹄疫発生による輸出市場の閉鎖は、同国に深刻なダメージを 与えた。しかし、EUが同年10月に条件付きでの輸入解禁を決定したほか、主要国 が相次いで輸入停止措置を解除し、カナダも2002年末に条件付きで解禁した。 さらに、米国は農務省動植物衛生検査局(USDA/APHIS)が、2003年5月 29日付けの官報で、ウルグアイ産の生鮮牛肉(冷蔵または冷凍)の輸入を一定条件 のもとで再開する旨の規則を公示した。 アルゼンチンの清浄国復帰は7月7日以降に 一方、5月26日付けのOIEプレスリリースによると、アルゼンチンについて、 同国はOIEにより無条件で口蹄疫清浄国に認定されたという誤った報道がされて いると指摘している。実際には、OIE動物疾病科学委員会は5月22日、アルゼン チンのワクチン接種清浄国の認定について審議したが、同委員会は「同国が2003年 5月22日から同年7月7日までの間に疫学上の変化がなかったことを示す文書を提 出することを条件として、同年7月7日以降にワクチン接種清浄国のステータスを 回復することができる。しかしながら、南緯42度以南のパタゴニア地域におけるワ クチン不接種清浄地域のステータスに変更はない」としている。 【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 6月4日発】
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