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フィリピン、農業分野における支援で米国と合意


二国関係の強化を強調
  フィリピンのアロヨ大統領は5月中旬米国を訪問し、両国におけるさら
なる軍事関係の強化・テロリズムの排除という点で合意すると同時に、農
業分野においても各種支援を受けることで同意した。

  まず、米国公法480号タイトル1(1954年農産物貿易拡大・援助法。タイ
トル1では米国余剰農産物の輸出促進のため開発途上国に対する戦略的貸
付を行う。償還期限30年、猶予期間最大5年で今回の利息は年率1%)に
基づき4,000万ドル(48億円:1ドル=120円)相当の米および飼料穀物の貸
し付けについて合意した。なお、今年3月に発表された貸付枠は2,000万
ドル(約24億円)相当であり、フィリピンへの貸し付けは、当初の2倍、
当該プログラムにおける全体割当枠の25%相当がフィリピンに割り当てら
れることとなった。同国農務省は換金率の高い米の割当を増やすことを米
国農務省に対し要請するとともに国内生産米の価格安定のため輸入の時期
について配慮することとしている。

 

脱脂粉乳の供与について合意

  さらに同国政府は米国と農業法416項(b)(1949年農業法416項(b)に
規定される、商品金融公社(CCC)所有の余剰農産物の途上国への贈与
を規定)に基づく440万ドル(約5億2,800万円)相当の脱脂粉乳の供与につ
いて合意した。

 このうち総額の半分に相当する220万ドル(約2億6,400万円)相当、
2,000トンは10月までに輸入され、政府が援助する酪農協同組合で国産生
乳に加えて加工された後、全国栄養会議の認定する貧困地域(ビサヤおよ
びミンダナオ地方)の学校給食用牛乳として年間120日の就学日数を通じ
配布され児童・生徒およそ8万6,000人がその対象となる。

  また、残りの2,000トンについては、米国に本拠地を置くNGO (ホープ・ワー
ルドワイド)のフィリピン支部を通じて換金され、ストリート・チルドレンの
収容施設の設立資金に充てられるほか、第7および第9地方行政区におけ
る新規酪農地域振興対策費に充てられる(当該地方行政区は口蹄疫緩衝地
帯となっており、かつ、ミンダナオ島(口蹄疫清浄地域)等と同じく貧困
地域であり、政府は南部地域における酪農振興を新規に創設する計画を持
つ)。
 


食肉処理場誘致

  今回のアヨロ大統領の訪米中、ニューヨークに拠点を置くTLCベアトリス
・フーズ社はフィリピン農務省との間で、ミンダナオ島の東ミサミス地方
に事業費4億ペソ(9億6,000万円:1ペソ=2.4円)の食肉加工処理施設を
建設する計画について合意した。敷地面積 2,236平方メートルを計画する
この施設は、待機場からと畜、解体、冷凍保管、加工・包装までを一貫し
て行うもので、1日当たりの処理能力は豚500頭、200人の雇用創出が見込
まれている。

  また、これに先立って同社の現地法人であるTLCベアトリス・フーズ・
フィリピン社は昨年末よりビコール地方ナガ市に1日当たりの処理能力豚
200頭の食肉処理施設を建設中で、今月中にも稼動する予定である。

  同国のと畜場・食肉処理施設は国立食肉検査委員会の監督の下、地方行
政区によって運営されているが、予算不足から老朽化が進み十分な衛生管
理ができていない。

  当該施設はナガ市における既存のと畜場の隣に設置され、相互使用契約
を結ぶことで既存施設の民間資本によるてこ入れを図り、処理能力と衛生
管理の向上を図ることとしており、農務省はこの他にも既存処理場に対す
る民間資本の導入を進めたいとしている。




 
【シンガポール駐在員 木田 秀一郎  6月4日発】 

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