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98年度来の輸出超過になると予想 米農務省(USDA)は2月20日、2003年度(2002年10月〜2003年9月)の 農産物貿易見通しを発表した。これによると、総輸出額はトウモロコシや大豆 などの増加が見込まれることから、前年度比約7%増の570億ドル(6兆7,260 億円、1ドル=118円)、総輸入額は米ドル高によるワインや野菜・果物などの 増加が見込まれることから、前年度比約5%増の430億ドル(5兆740億円)と 予想している。これらから農産物貿易額は140億ドル(1兆6,520億円)の輸出 超過となり、98年度(168億ドル)に次ぐ高水準に達する。 畜産物の輸出額も増加傾向 畜産物の輸出額については、前年度比約4%増の124億ドル(1兆4,632億円) と前回発表時(昨年11月)から変更はなかった。品目別の見込みは次の通り。 (牛肉および豚肉(内臓肉を含む)) 輸出額は合わせて前年度比約5%増の50億ドル、輸出量が前年度比約 3%増 の200万トンになると予測(それぞれの予測数値は公表されていない)。牛肉に ついては、メキシコ、韓国向けは前年度とほぼ同じとし、日本向けの輸出はB SEの影響から回復し増加すると予測しているものの、仮に牛肉の関税の緊急 措置が発動された場合、その伸びが鈍化するとしている。豚肉にあっては、昨 年発動された日本の豚肉の関税の緊急措置の発動による輸出額への影響は少な いとしている。 (ブロイラー肉) 輸出額は前年度比約4%増の16億ドル(1,888億円)、輸出量が前年度比約 2%増の230万トンと、昨年5月からのロシアの輸入割当措置にもかかわらず 増加すると予測している。 なお、畜産物の輸入額のうちレッドミートおよびその製品は前年度比約3% 増の 43億ドル(5,074億円)、同様に輸入量が前年度比約3%増の170万トン になると予測している。 また、乳製品については、10億ドル(1,180億円)の輸出および18億ドル(2,124 億円)の輸入をそれぞれ見込んでおり、輸入超過の状況になると予想されてい る。 2012年までの長期見通しにおいても畜産物の輸出拡大を予測 ほぼ同時期にUSDAが発表した2012年までの農産物需給予測のうち畜産物 の輸出傾向については、世界経済の成長と食肉需要の高まりを背景に今後も増 加傾向にあるとしている。概要は次の通り。 (牛肉) オーストラリアやニュージーランドからグラスフェッドビーフを輸入する一 方で、今後はそれらを上回る量の高品質グレインフェッドビーフが環太平洋地 域(日本、韓国など)を中心に輸出され、2012年には143万トンに達すると予 測。なお、米国は2009年に純輸出国に転じると予想。 (豚肉) 環太平洋地域とメキシコへの輸出動向が鍵であり、2012年には90万トンに達 すると予測。しかしながら、米国の豚肉輸出における長期的な収益は、生産費 が低く環境規制の緩いブラジルやメキシコのような競合国の生産費に左右され ると予測。 (ブロイラー肉) 90年代のような伸び率は見込まれないものの輸出量は毎年微増し、2012年に は 306万トンに達すると予測。今後も米国ブロイラー肉産業は他の主要競合国 (ブラジルなど)との厳しい競争に直面することが見込まれる。輸出市場はアジ ア、ロシア、東ヨーロッパ、メキシコが主となるとしている。
【ワシントン駐在員 道免 昭仁 2月26日発】
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