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GMOの表示に関する大統領令が公布 ブラジルのルラ大統領は2003年4月24日、遺伝子組み換え体(GMO)を含む食品 などのラベル表示に関する新たな規則を定めた大統領令第 4680号に署名し、翌4月 25日付けの官報で公布した。同法令は、GMOの混入が4%以上である食品に対し ラベル表示を義務付けた2001年7月18日付け大統領令第3871号を廃止するとともに、 主に次の事項を規定している。なお、GM大豆の生産・販売を解禁する司法の判決 が下されていないブラジルにあって、今回の措置の意義について国家バイオ安全技 術委員会(CTNBio)では、司法の判決と法令制定は別問題という見解を示し ている。(ブラジルのGM作物をめぐる情勢について、「畜産の情報」2002年12月 号P73〜74を参照) GMO混入率1%以上にラベルの表示義務
@ GMOの混入が1%以上である食品、飼料、およびそれらの原料が販売される 場合、GMOの混入があることをラベル表示により消費者に知らせなければな らない。 A GMOの混入を商品の販売伝票にも記載することで、販売の各段階にその旨を 知らせることとする。 B @で規定されたGMOの混入率については、CTNBioの判断によりその率 を引き下げることができる。 C GMOを含まない、またはGMOに由来しない商品に対しては、「非GMO」と 表示することができる。 D GMOを含む飼料により飼養された家畜由来の食品または原料に対しても、そ の旨を表示するものとする。 E 2003年に収穫された大豆由来の食品または飼料については、GMOの混入率に かかわりなく、遺伝子組み換え(GM)大豆を含む可能性がある」または「G M大豆由来の原料を含む可能性がある」と表示するものとする。ただし、2003 年3月26日付け暫定令第113号(本紙通巻第573号を参照)の適用外としてブラ ジル農務省が別途定める地域で生産された大豆、または当該地域で生産された 大豆由来の原料のほか、同暫定令の規定により非GMOであることが証明され た大豆については、その限りではない。 F 2003年に収穫された大豆由来の食品または飼料は、それらの原料となる大豆の 販売が2004年1月31日までに行なわれたものに限り、同日以降の販売が認めら れる。 大統領令に対する国内外の反応はさまざま 今回の大統領令に対する国内外の反応はさまざまである。 ブラジル環境省生物多様性・森林局のカポビアンコ局長は「GMOの混入率を従来 の4%以上から1%以上に引き下げたことや、GMOを含む飼料により飼養された家 畜由来の食品や原料にもラベル表示を義務付けたことは、大きな前進である」と評価 している。 一方、全国農業連盟(CNA)のスペロット副会長は、今回の規則がブラジルの 農業生産者となんら議論が交わされることなく決定されたとした上で、混入率につ いて厳しい基準が設定された旨の見解を発表した。 国外の反応としては、米国に次ぐGMO先進国であるアルゼンチンが今回の決定 に抗議している。現地報道によると、アルゼンチンのルカウフ外相は「遺伝子組み 換え分野に関しては、ブラジルとアルゼンチンの共同政策として取り扱うという合 意があったにもかかわらず、ブラジル側が一方的に今回の規則を制定した」との不 満を表明した。これに対しブラジル政府は、メルコスル(南米南部共同市場)では 当該分野について、いかなる約束も行われていないと反論している。 前述の通りブラジルでは、GM大豆の生産・販売を解禁する司法の判決はまだ下 されていない。しかしながら、現政権は、国内で数百万トンのGM大豆が栽培され ていることを認めており、前述の暫定令第113号で 2003年に収穫されるGM大豆に 限り、条件付きでの販売を承認している。こうした状況の中で公布された今回の大 統領令が、GM作物の自由化をめぐる今後の動きにどのような影響を及ぼすか注目 されるところである。 【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 5月7日発】
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