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EUの牛飼養頭数、減少傾向続く


EUの牛飼養頭数は7年連続の減少
 EU統計局(EUROSTAT)によると、2002年11月または12月時点にお
けるEU15ヵ国の牛飼養頭数は、前年同期に比べて2.8%減の7,813万1千頭と
なった。これは、近年で最も多かった95年の8,488万5千頭に比べると8.0%、
675万4千頭下回るものであり、96年以降、7年連続で減少している。

  カテゴリー別に見ると、前年同期では、肉用または乳用経産牛の更新用とし
て供される「1歳以上の未経産牛(その他)」はわずかではあるものの増加が見
られたが、今回の調査ではこの部門も含めすべてにおいて減少しており、「1
歳未満の子牛」の減少が最大となっている。


EUのカテゴリー別牛飼養頭数(単位:千頭、%)
  2001年 2002年 02/01
1歳未満の子牛 23,543 22,727 △3.5
1歳以上の雄牛 7,647 7,387 △3.4
1歳以上の未経産
牛(と畜用)
2,796 2,726 △2.5
1歳以上の未経産
牛(その他)
14,014 13,891 △0.9
乳用経産牛 20,153 19,517 △3.2
肉用経産牛 11,998 11,697 △2.5
合計 80,360 78,131 △2.8
注:各年11月または12月時点の頭数
  
 国別に見ると、EU15ヵ国のうち13ヵ国で前年同期に比べて減少している。
減少率が最も大きいのがイタリア(9.5%の減少)であり、次いでデンマーク
(5.4%の減少)、ベルギー(5.1%の減少)となっている。

  主要な飼養国であるフランスおよびドイツについてみると、フランスについ
ては、前回の調査ではBSE問題による農場保留の増加などによりその前年を
上回る頭数(1.0%の増加)を記録していたが、今回の調査では減少に転じて
いる。またドイツについては、他の国と同様に減少傾向にある。

  一方、ギリシャとイギリスでは前年同期に比べ増加している。イギリスでは、
口蹄疫の大発生による影響から2001年にはその前年に比べ大幅(6.6%)に頭
数が減少したが、今回の調査では前回に比べ経産牛(乳用1.6%、肉用1.2%)
が増加するとともに、「1歳以上の未経産牛(その他)」も増加(0.2%)し
ており、繁殖基盤の充実が図られていることがうかがえる。

  2001年 2002年 02/01
EU15ヶ国 80,360 78,131 △2.8
ベルギー 3,106 2,948 △5.1
デンマーク 1,840 1,740 △5.4
ドイツ 14,227 13,696 △3.7
ギリシャ 559 573 2.5
スペイン 6,272 6,155 △1.9
フランス 20,282 19,729 △2.7
アイルランド 6,518 6,338 △2.8
イタリア 7,395 6,695 △9.5
オランダ 3,842 3,780 △1.6
オーストラリア 2,119 2,067 △2.4
ポルトガル 1,404 1,392 △0.9
フィンランド 1,019 1,012 △0.8
スウェーデン 1,617 1,616 △0.1
イギリス 10,161 10,391 2.3
注:1 各年11月または12時点の頭数
  2 ベルギーにはルクセンブルクを含む




2003年の牛と畜頭数の予測

  2003年の牛と畜頭数については、2002年の2,744万6千頭(暫定値)に比
べ、1.8%減少の2,695万2千頭と予測されている。主要国では、フランスが
5.5%の減少、ドイツが2.8%の減少となっているが、イギリスでは1.1%の
増加と予測されている。また、繁殖用雌牛の減少傾向に歯止めがかかってい
ない状況から、牛のと畜頭数の減少は2004年も続くものと予測されている。
EUの牛と畜頭数
  2002年 2003年 03/02
EU15ヶ国 27,446 26,952 △1.8
注:2002年は暫定値、2003年は予測値
【ブラッセル駐在員 関 将弘  5月7日発】

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