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フィードロット飼養頭数、日本向けが国内向けを下回る(豪州)


フィードロット飼養頭数、高水準を維持

  豪州フィードロット協会(ALFA)は4月29日、豪州食肉家畜生産者事業団
(MLA)との共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査の
結果を発表した。これによると、総飼養頭数は2003年3月末時点で68万5千頭と、
前回調査時点の2002年12月末と比べ3%減となったものの、前年同期比では5%
増と依然高水準を保っている。

州別飼養頭数内訳(単位:頭)
  3月末 前年比
増減率
前年同期比
増減率
NSW 266,771 3% 11%
QLD 336,592 △2% 9%
VIC 47,187 △7% 13%
SA 13,945 △17% △45%
WA 20,997 △42% △46%

合計

685,492

△3%

5%

仕向け先別飼養頭数内訳(単位:頭)
日本向け 315,300 △14% △3%
韓国向け 9,052 △48% △56%
他輸出 36,326 16% 96%
輸出計 360,678 △13% △1%
国内向け 319,463 18% 16%
その他 5,351 △76% △63%

合計

685,492 △3% 5%
 フィードロット飼養頭数を州別に12月末と比較してみると、全国の約5割を占
めるクインズランド(QLD)州は、2%減となったものの、同じく約4割を占
めるニューサウスウエールズ(NSW)州では、3%増となった。また、ビクト
リア(VIC)州や西オーストラリア(WA)州では、干ばつの影響でフィード
ロットの縮小、廃止があったと考えられることから、それぞれ7%減、42%の大
幅減となった。



日本向けなど輸出向けが大幅減少
  一方、仕向け先別に見ると、輸出向けが 36万1千頭とフィードロット飼養頭数
全体の53%、国内向けが31万9千頭で同47%となり、12月末と比較して輸出向け
頭数は13%減、国内向け頭数は18%増となっている。MLAによると、今回日本
向け輸出頭数が初めて国内向け頭数を下回ったとしている。
  
 ALFAでは、輸出向け頭数が減少した要因は、豪ドル高、飼料価格の上昇な
どによるコスト増、日本の牛肉関税緊急措置の発動に対する懸念によるとしてお
り、また国内向け頭数が増加した要因は、前回調査と同様干ばつによる牧草不足
の影響から国内市場向け肉用牛がフィードロットに導入されたためとみている。
  
 フィードロットの収容可能頭数に対する利用率は、前回調査と同様全体で77%
となっている。



飼料穀物の安定的供給の確保が課題
  ALFAでは、今後の見通しとして、干ばつが冬穀物の播種時期(4月〜8月)
まで続くならさらに飼料穀物価格は上昇し、そのためフィードロット産業は収益
性の面で大打撃を受けることとなる。また、と畜頭数のさらなる増加というリス
クに直面することも予想され、その場合、産業の再構築には数年を要することと
なるとみている。また、豪州は国土が広いため、毎年、干ばつや洪水などにより
どこかの地域で飼料穀物不足が発生することから、フィードロット産業の発展に
は飼料穀物の安定的供給の確保が不可欠である。しかし、国内最大の穀物生産地
である西オーストラリア州からのものは、クインズランド州などに輸送する場合
コストがかかることなどから、厳しい検疫制度が問題となるものの、輸入穀物の
利用が必要であるとしている。  
 


【シドニー駐在員 井上 敦司 5月5日発】 
 
 
 

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