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トップ25社、全体の出荷量の71%を占める 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)はこのほど、月刊誌「フィードバック」の中で、牛 肉と羊肉の年間出荷重量を基準に、2002年の食肉処理業者トップ25を発表した。なお、この 調査は1991年から行われているが、今回の調査から豚肉の出荷重量は除かれた。 2002年の状況をみると、長引く干ばつの影響により生産者が家畜の早期出荷を余儀なくさ れたため、と畜頭数が昨年に比べ大幅に増加したが、1頭当たりの枝肉重量は減少している。 また、主要な輸出先である日本での牛海綿状脳症(BSE)による牛肉消費の減退も輸出市 場に影響を及ぼした。 このような状況の中、同誌によると2002年の食肉処理業者トップ25社の年間食肉出荷重量 は、194万5千トンとなり、豪州食肉処理量全体の71%を占め、上位10社中7社が前年の出 荷重量を上回る結果となった。牛肉と羊肉の構成割合については、牛肉の割合は前年に比べ 82%から84%に増加し、羊肉は18%から16%に減少した。また、食肉処理工場数は、処理量 の増加を反映してか、新たに2工場の増設があり合計で50工場となった。 食肉処理業者の出資状況を外国資本と豪州資本の割合でみると、2002年の豪州資本は前年 と同じく全体の58%であった。 業界でのAMHの1位は変わらず 企業ごとにみると、第1位は米国資本のオーストラリア・ミート・ホールディングス(A MH)社で、出荷重量は約39万トンと豪州全体の14%、牛肉では24%のシェアを占めており 、2位以下を大きく引き離している。2位は前年3位のティーズ・ブラザース社(2002年10 月に前年4位のコンソリティッド・ミート・グループ社と合併)で、3位は日系資本のニッ ポン・ミート・パッカーズ・オーストラリア(NMPA)社であった。4位のビンダリービー フ社は、1頭当たりの枝肉重量の減少や一部の工場の稼働率低下が原因で出荷重量が前年に 比べ10%減少した。NMPA社のほか日系資本では、ロックデール・ビーフ社が昨年の19位 から9位へと大きく順位を上げている(ただし、前年の出荷重量は同誌独自の推計による)。 干ばつの影響で家畜不足から経営悪化の業者も 一方、今回10位にランクされたタスマングループサービス社が所有するタスマニア州の食 肉工場では、食肉処理用の家畜不足などを理由に10月17日閉鎖が発表されたが、州政府が稼 動を維持するための支援に乗り出している模様である。食肉処理業者にとって、干ばつの影 響で減少した家畜の確保が新たな問題となってきている。 食肉処理上位10社
【シドニー駐在員 井上 敦司 10月29日発】
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