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乾期と乳量
インドネシアのジャワ島の乾期は、一般に4月から始まり10月には終わる。 その間の水不足が様々な形で家畜の飼養に影響を与えている。 特に野草を中心とした粗飼料を基に酪農を行っている地方では、乾期の到来 とともに飼料の確保が困難になり、乳量が減少するので、乳業メーカーは酪農 家に奨励金を提示し、集乳を図っている。 乾期奨励金 現在の東ジャワ地区における集乳の90%をネスレインドネシア社が占めてい る。 昨年、同社は、生乳1リットル当たり、最高50ルピア(0.5円:1ルピア=0.01 円)をガソリン代の名目で取引価格に加え、乾期を含む8カ月間に限って支払 うと申し出た。 これは、生産コストの上昇で酪農家から生乳の提供が行われない場合には乳 業側も損失に直面することになるからである。 今年は、GKSI(インドネシア酪農業協同組合連合会)東ジャワ支部が生乳販売 価格1キログラム当たり1,910ルピア(19円)の5%を乾期の奨励金として乳業 側に要求した。 支部の生産乳量は通常日産量600トンで乾期にはそれが560トンに減少する。 また、乳牛の飼料として粗飼料を平均1日当たり40キログラム与えるが、乾期は その価格が雨季の2倍となり、生産者の経営をさらに圧迫することへの補てんで あるとしている。 品質奨励金 インドネシアでは、国産乳製品と輸入品と比較して最も異なるものはいわゆ る牛乳の“風味”と言われており、風味の改善には原料乳そのものの品質が重 要である。そのため、乳業メーカーは牛乳の細菌数によって奨励金額に差をつ け、生乳1ミリリットル当たりの細菌数を300万個を上限に、150ルピア(1.5 円)から25ルピア(0.25円)まで段階的に設定してある。 しかし、昨年の奨励金交付実績はあまり芳しいものではなかった。 東ジャワ地区には2万9,800戸の酪農家が12万7,000頭の乳牛を飼養してい るが、そのうちわずか2,000戸の酪農家のみがバクテリア数1ミリリットル当 たり300万個以下を達成した結果となっている。 有識者の意見 毎年繰り返される乾期の影響を受ける者のほとんどが粗飼料主体の農家に集 中している状況を、酪農乳業の研究者であるバラウィジャヤ大学の教授は、「 牛の飼養方法としては間違っていないが、草をそのまま与えるのは安易過ぎる のではないか。農家が草を醗酵させて利用するなど、自然資源の有効利用にも っと努力するべきではないか。また、定期的に乾期は到来するのであるからそ れに備えるように指導すべきではないか」と指摘している。 厳しい収益の確保 インドネシアの一般的酪農家は1頭1日当たりの平均乳量が10リットルで、 コストを差し引くと純収益は700ルピア(7円)ほどにしかならず、酪農家の 経営環境は大変厳しい状況となっている。 【シンガポール駐在員 斎藤 孝宏 10月2日発】
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