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カナダからの生体牛輸入のための具体的な規則を検討中 米国農務省(USDA)ランバート市場規制担当次官代理は10月1日、ワシントン DC内で開催された民間の調査会社主催の BSEに関する意見交換会で、カナダから の30カ月齢未満の牛生体の輸入再開のための規則の具体的な検討を行っているこ とを明らかにした。しかし、解禁の時期的な見通しについては、科学的な検証、 法的な手続き、パブリックコメント手続き、日本を始めとする関係国との協議を 要することから現時点では具体的な見通しを有しないとした。米国はカナダから の30カ月齢未満の牛の部分肉の輸入の具体的な規則についてカナダとの間で合意 に至ったことから9月10日から当該部分肉の輸入を再開している また、日本との間で合意した BEVプログラムについてはあくまで重要な貿易相 手先国である日本の消費者の懸念に対応したものであり、科学的な見地に基づく 措置ではないことを強調した。 米国食肉処理業界はMBMへのSRM混入禁止に難色 同会合において、米国食肉協議会(AMI)はFDAが特定危険部位(SRM) の取り 扱いを検討していることに関連し、家畜衛生の観点からは、既に肉骨粉(MBM)の 反芻獣家畜への給与は法律により禁止されてており、SRMのMBMへの混入禁止は多 大な費用を要することから、これを行うことは適当ではないとした。ただし、公 衆衛生の観点からの食肉からのSRMの除去については、脳と脊髄の除去によりSRM の90%が除去できるとして、この2つに限定するのであれば検討が可能であると した。 また、米国は、@発生国からの生体やMBM等の輸入禁止 AMBMの飼料給与の禁 止 Bサーベイランスの実施 −という3つの措置により米国へのBSEの侵入と蔓 延を防止しており、引き続きこのような対策を継続する必要があるとした。 加米墨は共同でOIE規約の改正を提案 カナダ肉用牛生産者協会(CBA)は、カナダ、米国、メキシコの3カ国が共同 で国際獣疫事務局(OIE)に対し、リスクに基づいた措置の検討を依頼したとし た。具体的には国際家畜衛生規約の牛海綿状脳症の章の低発生国の規約について 改正を提案し、BSEの低発生国からは一定の条件を満たすものについて、貿易を 継続することを国際的な基準として定めたいとした。 また、カナダでは、 BSE発生直後からの積極的な情報公開により、6月に実施 した調査によると、カナダ食品安全庁(CFIA)の支持率は88%、カナダの肉牛生 産者に対する支持率は84%と高い水準にあるとした。同月に実施したカナダの消 費者に対するインターネットによる調査では、86.5%の消費者がカナダ産牛肉は 安全であるとし、安全ではないとした消費者は8%であった。消費者の安全性へ の信頼はカナダの重要産業を支えるための積極的な購買運動にも現れており、BSE の発生から2カ月目までは牛肉の消費はわずかに減少したものの、直近では対前 年同月比で+72%と非常に高い水準にあるとした。 このような状況を反映し、100ポンド当たり110カナダドルから32カナダドル と発生前の1/3まで下落した去勢肥育牛の生態価格は80カナダドル前後まで回復 しつつあるが、肥育素牛については、肥育牛がフィードロットに滞留しているこ ともあり、100ポンド当たり約10カナダドルと発生前の1/5の水準となっており、 価格の低迷が続いているとした。 【ワシントン駐在員 犬飼 史郎 10月1日発】
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