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近年のブラジルの生乳生産量は増加傾向 近年におけるブラジルの生乳生産量は、飼養管理技術の向上などを背景に、ほ ぼ一貫して増産傾向にある。ブラジル地理統計院(IBGE)の統計によると、2001 年は、96年に比べ10.8%増の2,051万キロリットルとなった。全国農業連盟(CN A)によると、2002年は、前年比でほぼ横ばいの2,040万キロリットル(推定値) となったが、2003年は、乳価が下落しないことを条件に、同4.4%増の2,130万キ ロリットルと過去最大となる見込みであるとしている。 ブラジルの主要酪農地帯は南東部 IBGEの統計によると、2001年における同国の乳牛飼養頭数は1,820万頭で、地 域別シェアを見ると、南東部が38%を占め最大で、次いで北東部19%、中西部17%、 南部16%、北部10%となっている。また、同年における生乳生産量の地域別シュア は、南東部が42%と最大で、次いで南部25%、中西部16%、北東部11%、北部6 %となっている。州別では、南東部のミナスジェライス州が3割近くを占め最大 である。この背景として、CNAは、同州に耕作不適地が多かったこと、サンパウ ロ市やリオデジャネイロ市などの大消費地に近いことなどを挙げている。次いで 多いのは、中西部のゴイアス州で11%を占める。2001年における中西部の生産量 は、96年に比べ15.5%増となったが、こうした増加要因としては、地代や労賃が 比較的安価であること、とうもろこしやソルガムなどの飼料穀物生産が拡大して いることなどを挙げている。 2003年1〜9月の輸入量は大幅減少 一方、開発商工省貿易局(SECEX)の統計によると、ブラジルは96年から2000 年にかけて、年間約31万トン〜38万トン(製品重量ベース。以下同じ)の牛乳・ 乳製品を輸入した。 CNAによると、乳業メーカーが国内で原料を調達し製品を市 場へ供給するよりも、価格的に有利な場合、輸入を行うとしている。しかし、輸 入は2001年以降減少傾向が見られ、2003年1〜9月の輸入量は、前年同期比61.8 %減の6万4千トンと大幅に減少した。主な供給国を見ると、アルゼンチンが2万 2千トン、ウルグアイが1万9千トン、ニュージーランドが8千トンとなってい る。この大幅な減少要因として、国際市況の回復傾向、安値で推移した自国通貨 レアルの為替動向、最大の供給国であるアルゼンチンの生乳の減産傾向などを挙 げている。 一方、96年以降の牛乳・乳製品の輸出量の推移を見ると、同年から2000年にか けては、年間1万トン未満であったが、2001年が1万9千トン、2002年は4万ト ンに達した。今年1〜9月の輸出量は、前年同期比 3.1%減の2万7千トンとや や減少したものの、2001年以降の増加傾向が引き続いている。最大の輸出国相手 先はアンゴラで1万トンを輸出した。 CNAによる政府への要望 CNAは、ブラジルの年間1人当たりの牛乳・乳製品の消費量(生乳換算ベース) は96年以降ほぼ横ばいの120〜130リットルで推移していることから、今後、さら に需要増大を図る必要があるとして、政府が提唱する飢餓撲滅対策やそのほか社 会プログラムの推進に期待している。また、ブラジルが自国で牛乳・乳製品の需 要を賄い、輸出拡大を図るため、政府に対し、乳価安定策の導入・実施、余乳の 買い上げ、酪農家などに対する農業資金融資の拡充、輸出振興策の実施などを求 めていきたいとしているが、こうした期待に政府がどこまで応えることができる のか、その対応が注目される。 【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 10月15日発】
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