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ワクチン接種や牛の移動管理などを強化 ウルグアイのモンテビデオ市で10月6〜8日、南米南部農牧審議会(CAS)が 開催され、同時並行的にその下部組織である常設獣医委員会(CVP)も開催され た。 CVPのテーマは、ボリヴィアにおける口蹄疫対策を強化することで、以下の提 案がされた。 1 予防接種を推進するため牧場経営者から正確な飼養頭数を報告させること。 2 ボリヴィアの衛生当局(SENASAG)は、口蹄疫ワクチンの輸入から保管・運搬ま でのすべてに責任を持ち、かつ関係業界とそれらについて調整すること。 3 官民共同で予防接種地域計画を策定すること。 4 外部消費用の肉用牛を多く飼養するベニ県、パンド県、チャコ地域では、ワクチ ン接種後に公認された耳標を取付け、識別すること。 5 ワクチン接種証明は、ワクチン接種が牧場に飼養されるすべての牛に行われた場 合に発行すること。 6 SENASAGが発行する移動証明書により、口蹄疫に対する感受性動物の移動を公的 管理すること。 7 この新しい衛生対策を実施するために必要な技術に応じた公的または公認の担当 者、設備、機材を増強すること。 8 予防接種計画や動物の移動管理に合わせ規則を変更すること。 9 SENASAGに「予防接種地域計画実施のための国家調整機関」を創設すること。 10 家畜が集合する場所(例えば市場、展示場など)では、衛生管理規定を策定する こと。 11 家畜の移動は予防接種後7日以降、かつ年2回の予防接種の間隔である6カ月 以内とする規定を策定すること。 またCVPはこれら対策費として、ワクチン代180万ドル(1億9,620万円、1ド ル=109円)、耳標代97万5,000ドル(1億628万円)、その他技術協力費を含め合 計280万1,000ドル(3億531万円)が必要になるとしている。 CASはCVPの上記提案を10月8日に承認し、かつ予防接種の実施に当たり周 辺国から人員を応援に派遣すること、1回目のワクチン接種を12月15日までに完了 すること等を併せて決定したが、対策費の調達方法が未定であったり、ボリヴィア における暴動、続く大統領の辞任により、短期間に実施が可能か否か注目される。 ◎ アルゼンチンにおける干ばつの影響 パンパ地域にあるブエノスアイレス州南西部、ラパンパ州、コルドバ州南部等で は干ばつにより農作物の作付けや牧草に多大な影響を与えていると9月下旬から連 日報道されていたが、10月7日にブエノスアイレス州南西部で降雨を記録し、やや 改善された状況となっていた。 こうした中、アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)は10月15日、2003/04年 度の主要作物の作付予想を発表した。それによると、干ばつの影響を受けて、小麦 が前年比4.8%減の600万ヘクタール、ひまわりが同7.1%減の221万ヘクタール、 トウモロコシが同1.9%増の315万ヘクタール、大豆が同2.9〜6.9%増の1,300〜 1,350万ヘクタールとなっている。 SAGPyAは、小麦、ひまわり、トウモロコシについては「降雨により状況は少し 改善したものの、今後もし多少でも不安定な気候となれば、収穫に大きな影響を及 ぼす可能性がある」とし、大豆については「作付時期が他の作物よりやや遅いため 、また前年度の良好な販売状況のため、過去最大の作付けが予想される」としてい る。 なお、畜産においては牧草や飲み水が不足し多数の家畜が死亡するなどの直接的 被害や、冬季用の乾燥粗飼料が準備できない、雌牛の死亡により後年の肥育素牛が 不足するなどの間接的被害が問題視されているが、被害額などについて現在まで公 式な発表はない。 ◎ G22メンバーがブエノスアイレスに集合 9月に行われたWTOカンクン閣僚会議において途上国22カ国(G22)が共同 提案するなどその勢力に注目が集まった。 こうした中、農業補助金の撤廃、途上国の一次産品および加工品に対する市場 の開放等について協議すべく、中南米諸国を中心にG22メンバーが10月10日、ブ エノスアイレスに集まった。公表された声明には、@すべてのWTO加盟国の意 見の一致をみることが重要である A途上国の発展と農業交渉はドーハ閣僚宣言の 中心的テーマである B途上国の生活水準改善にプライオリティーをおくべきであ る −など総論的内容が載っており、具体的な提案はなかった。 当会議の開催前には、ペルー、コスタリカ、コロンビアなどがG22から離脱す るなど、メンバーがよく変わり実際には何カ国がメンバーなのかはっきりしない ため、現地では「GX」と報じているところもある。 【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 10月21日発】
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