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GM作物栽培、10月末解禁 遺伝子組み換え(GM)作物の商用栽培が10月末から解禁になるニュージーランド(N Z)では10月11日、各地でグリーンピースなどの環境保護団体による大規模な抗議デモが 行われた。当地の警察の推計によればオークランドで1万5,000人、ウエリントンやクライ ストチャーチでは2,000〜1,500人のデモ行進が行われ、GM作物栽培解禁までの猶予期間 (モラトリアム)の延長を訴えた。 NZでは、1996年にGM作物の栽培を認める法律が議会で可決された。その後、安全性 への配慮からGM問題を検討する委員会が設けられ、そこで安全性に関する種々の議論が 行われてきた。また、2001年までは研究者や農業関連業界が協力して、商用栽培や農場で の試験栽培の自主規制を実施していた。2002年に入って、GM作物栽培解禁までのモラト リアムが法律で定められ、研究所や試験場での栽培は認められたが、商用栽培は2003年10 月29日までできなくなった。 クラーク首相は13日、ラジオ番組の中で今回の抗議行動に対し、「GM作物の栽培の解 禁日を定めた法案は18カ月前に議会を通過しており、この決定が覆される可能性はない」 と述べ、政府の方針に変更はないことを強調した。 実際の市場流通は5年以上先の見通し この問題を担当するホッブス環境相は14日、声明を発表し、モラトリアムが終了しても 10月末から栽培許可申請が可能になるだけで、その審査は慎重に行われ、GM作物が実際 に市場に出回るのは5年以上先になるとの見通しを示した。また、GM作物の解禁はNZ 経済の成長や技術革新にとって欠かせないと主張し、GM作物の利点や、懸念される事柄 に関する対策などについて次のように述べている。 ・NZの発展のためには、GM作物栽培などのバイオテクノロジーの研究・利用が不可欠 である。 ・GM作物の利点は、@土壌の改良、雑草除去作業の簡易化 A有毒な農薬使用の削減 B医薬の新たな投与方法となりうる(食品として摂取) C新たな害虫予防方法 − などにある。 ・政府は、オーガニック穀物、在来の穀物、GM作物のこれら三者の共存は可能と信じ ている。オーガニック業者が懸念するGM作物の混入に関しては、GMフリーの状態 が保てるよう、花粉の飛散やミツバチの行動範囲などを考慮した栽培許可条件を設け る。 ・GM食品には厳しい表示義務があり、消費者は購入するときにGM由来の食品か否か を確認できる。 ◎ 豪州の要請受け、EUの原産地表示保護制度でWTOパネル設置 世界貿易機関(WTO)は10月2日、EUの原産地表示保護制度に対し、豪州及び米 国の要請を受け、紛争調停パネルの設置を正式に決定した。豪州はこの問題について、 米国と協調してEUと協議してきたが、具体的進展がみられなかったことから、8月29 日に両国がWTOにパネル設置を要請していた。 EUでは1992年から農産物の品質特性に生産地域と特別な関連がある場合、その農産 物に原産地呼称の登録を認め、産地表示を保護している。豪州政府は、このEU規程そ のものがEU産品を守るために他の国の産品と差別することを目的としており、差別的 取扱いを禁じているWTOのルールに矛盾した過度な呼称の保護であると主張している。 豪州側が呼称で問題としている産品は、チーズ、羊毛、加工食肉や果物などである。な お、パネルでの審理の後、報告書が採択されるのは、早くても2004年の後半になる見込 である。 【シドニー駐在員 井上 敦司 10月23日発】
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