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公的機関で調達する食料について見直し
イギリス環境食料農村地域省(DEFRA)は8月26日、学校、病院、刑務所 や地方自治体などの公的機関による食料の調達などについて見直しを行うことを 発表した。 この見直しは、DEFRAの調整のもと、公的機関の食料の買入れ担当者や食 事の提供業者によって、食料の生産と流通について、その環境や、廃棄物、エネ ルギー、生物学的多様性、動物福祉、農薬の使用、栄養への影響について着目し 検討される。 また、中小規模事業者が公的機関への食品の納入等において公正な機会が与え られているかどうか、公的機関において提供されている食事の種類が、各機関の 目的に貢献し得るかどうかについても検討することとしている。 なお、今回の見直し結果は、「公的機関における持続的な食料調達に関する計 画」を補足するもので3年の実施期間で5億ポンド(925億円、1ポンド=185円 )の予算で取り組まれているイギリス政府の「持続的な農業と食品に関する戦略 」の一部となるものである。なお、見直し結果は、今秋公表される予定である。 検討のポイントは以下のとおり。 1 公的機関が食品の購入あるいは食事の提供を受ける契約をする際に、動物福 祉、農薬の使用や環境への影響などを考慮した適切な生産基準を契約書に含 めること 2 中小規模の食品供給業者に対する公的機関における入札手続の周知、競争機 会の付与すること 3 健全な食事と栄養に関する政府のその他の計画との調和のもと、公的機関の 食堂における健康のための食品の使用を促進すること 4 有機食品の調達を促進、廃棄物の削減をすることなどにより環境への影響を 縮小すること 5 イギリス全体における公的機関への食品等の供給面での課題を明確化し、そ の解決を図ること 生産者団体は歓迎 イギリスの全国農業者連合(NFU)は、これにより「イギリス国内の公的機 関が、価格だけではなく環境、動物福祉等の観点から食品等を選ぶことになり、 これらの基準を守って生産しているイギリス産の品質の高い食品の利用拡大につ ながる。生産者のみなら消費者にとっても持続可能な将来がもたらされる」と今 回の発表を歓迎するコメントを述べている。
◎ EU委員会、有機農業についてのアンケート結果を公表 EU委員会は、先頃、本年2月6日から3月16日の間に実施した有機農業に関 する市民アンケートおよび意見募集の結果を公表した。 総数で1,136件の回答が寄せられており、そのうち45%が消費者から、12%が 生産者からのものであった。 EU委員会が設定した12の設問のうち、「共通農業政策(CAP)による有機 農業への支援」および「トレーサビリティの確保」については、非常に重要であ ると答える割合が高い結果となっている。 EU委員会は、2004年1月に市民からの公聴会を計画しており、その後、有機 農業の推進のための方策などを含む、最終的な「有機農業推進のための行動計画 書」を2004年の早い時期にEU理事会および議会に提出する予定である。
【ブラッセル駐在員 関 将弘 8月27日発】
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