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フォンテラ、ボンラックの株式50%取得で合意 ビクトリア(VIC)州に本拠を置く大手乳業会社ボンラックフーズ(以下「ボ ンラック」という。)は8月8日、ボンラック・サプライ・カンパニー(BSC) とニュージーランド(NZ)の巨大乳業会社フォンテラとの間で同社の再建案に合 意したと発表した。BSCは、ボンラックに生乳を供給しているVIC州とタスマ ニア州の酪農組合で、現在、ボンラックの株式の75%を所有している。 再建案では、フォンテラのボンラックに対する株式保有率を現在の25%から50% に引き上げ、ボンラックの財務状況の改善を図るとしている。 また、この再建案では、販売コストの削減を図るため、ボンラックが製造する粉 乳やチーズなどの製品すべてをフォンテラが買い上げ、豪州国内および海外で販売 するとしている。ボンラックは、酪農家からの集乳と生乳の加工処理に特化し、販 売は、全世界に販売ルートを持ち強い販売力を有するフォンテラが行うこととなる。 さらに、フォンテラがボンラックに対し経費削減など経営合理化のためのサポート も行っていくとしている。 事業集約化へ向け、一部事業を先行売却 一方、ボンラックは再建案の合意に先立って、過大な設備を処分し再建を図る方 針を建てており、この方針の下、7月に同社のリカルデント事業(生乳の中に含ま れる成分から虫歯予防に効果があるリカルデントを製造販売する事業)を豪州のキ ャドベリーシュエップス社に売却したと発表した。続いて8月初めには、VIC州 西部のコブデンにあるUHTフレーバーミルク工場(UHTミルク生産能力;年間 2,500万リットル)を、豪州の大手乳業会社ナショナルフーズの申し出を受け、同 社に売却すると発表していた。 ボンラックにとって、この再建案合意に至るまでには長い時間を要した。ボンラ ックは、過去の過大な設備投資が原因で、経営状況が悪化し、2001年にフォンテラ の前身の1つであるニュージーランド・デイリーボードからの出資を受け、業務提 携を行うなど、経営再建に取り組んできた。しかし、経営改善は進まず、今年1月 には豪州最大手の乳業会社マレーゴールバンとの合併による再建案が持ち上がった が、ボンラックの債務過多が原因で実現しなかった(海外駐在員情報通巻第573号 参照)。その後、フォンテラの提案を基に再建についての協議を重ねた結果、今回 の再建案の合意となった。途中、6月に大手農業関連会社エルダースが、ボンラッ ク買収の動きを見せたものの、ボンラックの具体的な再建案の提示がなかったため 、進展しなかったようである。 ボンラック、フォンテラの再建案を高く評価 ボンラックのキャンベル会長は、フォンテラとの再建案の合意について、「大幅 な経費の節減が図られ、利益を増加させることができ、酪農家にとっても、もはや 他の選択肢はない」と述べ、満足感を示した。 同会長によれば、この再建案が実現すれば、年間3,500万豪ドルから3,800万豪ド ル(26億9,500万円から29億2,600万円;1豪ドル=77円)にのぼる利益の増加をも たらすとみている。 なお、この再建案は9月5日に開催されるBSCの株主総会での表決により、最 終的に決定される予定である。 【シドニー駐在員 井上 敦司 8月27日発】
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