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第2回畜産エキスポ開催
マレーシアでは8月21日から23日までの3日間、同国農業省獣医局主催により クアラルンプール近郊のマインズ国際展示場で2003年(第2回)畜産エクスポが 開催された。 畜産エクスポは主に同国の養鶏産業の振興、特にEUを始めとする輸入国に対 しての今後の輸出振興とその課題などに重点がおかれた内容となっており、会 場では、2001年の第1回と同様に畜産関係機器や加工食品の展示・試食会など のほか、数々のセミナーが開催された。入場者を畜産農家と畜産食品業界関係 者に限定し、ビジネスチャンスの提供や生産振興のための情報提供を目的とし ており、シンポジウムの講演内容もそれに見合った専門性の高いものとなって いた。 獣医局長は開会式の後、挨拶の中で、「マレーシアの畜産業は、2001年の生 産額は60億リンギ (1,860億円:1リンギ=31円)に達し2003年には 70億リンギ (2,170億円)に達する成長が期待できるとして、主要市場であるEUや今後の成 長が期待できる中国やインドを意識しつつアセアン各国の協調が今後ますます 重要となるだろう」と述べた。 養鶏産業に重点をおいた展示 展示会には、マレーシアやEU各国の企業を中心に米国、シンガポール、台湾 、韓国、中国など23カ国から250社以上が出展し、養鶏関連の鶏舎等資材施設 の展示が目立ち、次いで飼料、飼料添加物や獣医関連薬品、食品製造企業によ る加工品の展示・試食会などが行われた。この他関連する専門書籍の展示即売 などがあった。 養鶏以外の畜産関連資材の展示は、肉牛、ヤギ、水牛、ラクダ用などがあっ たがほんの一部であった。 EU−アジア鶏肉フォーラム 3日間にわたっていろいろなシンポジウムが開催されたが、一部養豚関連の セミナーがあったほかは大部分が養鶏関連で、特に2日目に開催されたEU-アジ ア養鶏フォーラムは、アセアン各国政府機関等の養鶏関係の要人が多数招待さ れ、今回のエクスポの目玉とされたことからも、同国の養鶏を畜産振興の重点 とした戦略がうかがえる。 同フォーラムでは同国獣医局長により、アセアン地域における養鶏産業の急 速な発展の現状と今後輸出産業振興のために求められる衛生基準、また同時に コスト削減の重要性が強調された。 同国獣医局担当者など政府関係者からは養鶏振興政策の概要説明や、サルモ ネラを始めとする熱帯養鶏における疾病対策、抗生物質使用の是非についての 講演があった。衛生対策関連の講演では特に、輸出の際に求められる基準をク リアすることに焦点を絞った講演が多くなされた。 EUからは、ウィルソン獣医検査官の講演があり、アジア諸国からの鶏肉輸入 の際に求められる食品衛生基準やと畜の際の動物愛護に関する配慮など、EUの 要求事項について、一般的な説明がなされた。 そのほか国内外の養鶏関連機器メーカーのエンジニアなどによる鶏舎の構造 、温湿度管理、ベンチレーションシステムなど最新技術、飼養管理全般の留意 点などについての講演がなされた。 今後、同様の畜産エクスポがアジアの各地で開催される。9月には中国の上 海で養豚エクスポ、2004年にはインドネシアのジャカルタおよびベトナムのホ ーチミンで畜産エクスポが開催される予定となっている。 【シンガポール駐在員 木田 秀一郎 8月27日】
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