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7月の牛飼養頭数が対前年比1.9%増(カナダ)


カナダ統計局7月1日現在の牛飼養頭数を発表 

  カナダ統計局(Statistics Canada)は8月19日、7月1日現在の牛飼養頭数を発
表した。これは、2万5千戸の農家を対象に調査したもので総頭数は前年比1.9%増
の15,728千頭、州別には、サスカチュワン州が対前年比10.4%増、マニトバ州が
8.2%増などとなっている。


牛飼養頭数(7月1日現在)
州、準州名 飼養頭数(千頭) 前年比
2002年 2003年
ケベック 1,370 1,420 103.6%
オンタリオ 2,140 2,230 104.2%
マニトバ 1,470 1,590 108.2%
サスカチュワン 2,940 3,245 110.4%
アルバータ 6,387 6,050 94.7%
ブリティッシュコロンビア 837 900 107.5%
その他 292 293 100.3%
合計 15,436 15,728 101.9%
  飼養頭数増加の要因は、BSEが確認されたことから、米国を始めとした各国が
生体牛および牛肉などの輸入禁止措置を行ったため、輸出向けの肉牛がフィード
ロットなどに保留されたことであるとしている。

  カナダ最大の肉牛生産地域であるアルバータ州の牛飼養頭数は前年比5.3%減
の605万頭となっているが、これは、一昨年から同州を中心として干ばつが続い
ており、これによる飼料価格の高騰からフィードロットおよび子牛生産者が減少
したことや肥育素牛を他州などへ移動する動きがあり、このことにより飼養頭数
が大幅に減少し、BSE発生による肥育牛などの保留頭数を上回ったことによる。
なお、本年 2月のカナダ統計局発表においても、本年1月1日現在の同州の牛飼
養頭数は前年比10.4%減少し、他州の飼養頭数は増加したものの、カナダ全体
の飼養頭数は前年比2.8%減の13,372千頭であったと報告している。さらに2002
年7月から12月の間に、前年同期の約3倍に達する24万3,200頭がアルバータ州
から他州や米国に販売・出荷されたとしている。

 

BSE発生前に比べ生体価格が40%下落

  2002年のカナダからの牛肉輸出額は 約210億カナダドル(約1兆8,060億円、
1カナダドル=86円)、生体牛の輸出額は約180億ドル(約1兆5,480億円)とな
っており、このうち最大の輸出相手国である米国への輸出額は生体牛、牛肉合
わせて約180億ドル(約1兆5,480億円)となっている。BSEの発生によりこれら
が市場を失い、国内で供給過剰となったことから、子牛、肥育素牛、肥育牛の
すべての価格に大きく影響し、BSE発生前に比べそれぞれ 約40%の下落として
いる。



◎ カナダ政府、BSEリカバリープログラムを実施

  カナダ政府は各州と連携し、最大の輸出国である米国が輸入禁止措置解除の
発表を行うまでの一時的な措置としてBSEリカバリープログラムを6月以降実施
している。プログラムでは、政府が定めると畜時の指標価格と実勢価格との差
額をカナダ政府と各州が6対4の割合で負担するものであり、4億6,000万カナダ
ドル(約395億6,000万円)を予算計上している。米国政府は8月8日、カナダから
の骨なし部分肉などの輸入禁止措置を条件付で解除すると発表(海外駐在員情
報通巻591号参照)したが、カナダ政府は8月12日、BSEリカバリープログラム
を8月31日まで実施し、追加的な予算として6,000万カナダドル (約51億6,000
万円)を計上したと発表した。

 

【ワシントン駐在員 道免 昭仁 8月27日発】

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