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前年同期比2.4%の成長
フィリピン農務省は8月末、2003年上半期の農畜水産業の生産状況を発表し た。2003年の上半期は、エルニーニョ現象の影響を受けたものの、85年の価格 に換算した農業総生産額は、前年同期比 2.4%の増加となった。ロレンツォ農 務長官は、「この数字は2002年上半期の成長率である 3.2%を下回っているも のの、農作物主産地で干ばつや台風の影響があったわりには満足のいく成長率 であった」と述べている。 分野別の成長率を見ると、作物部門が同 1.2%の増加であったのに対し、畜 産部門は同4.1%の増加、水産は同2.9%の増加となっており、同国の農畜水産 業の中で畜産部門の貢献が大きくなっている。作物部門では、同部門の総生産 額の 27.6%を占める米が同 5.1の減少となったものの、同部門で第2位(作物 生産額の17.6%)となっているサトウキビが同18.8%の大幅な増加となった。 同国の農畜水産業に占める畜産部門の生産額は、各年の上半期で比較すると2001 年が28.1%、2002年が28.3%、2003年が28.7%と近年徐々に増加する傾向を示 している。 豚肉・鶏肉、と畜処理の近代化が貢献 畜産部門では、同国の畜産の中心的役割を果たしている豚が同4.1%増、鶏 肉と鶏卵がそれぞれ同5.3%増となっており、畜産部門の生産額の増加に貢献 している。農務省によると、このような生産額の増加は、豚と鶏肉については 、と畜場で処理される豚や鶏の頭羽数が増加したことによるとしており、鶏卵 については、1〜3月の産卵率が上昇したためであるとしている。 このような農務省の説明は、同国の2002年の豚飼養頭数である約1,165万頭 のうち約77%に相当する約894万頭が小規模農家の庭先飼養となっており、こ れまで相当数が自家と畜など政府の公式統計に載らないルートで処理されてき たことを示唆している。また、鶏についても、総飼養羽数である約1億2,572万 羽のうち在来鶏が約7,581万羽(60.3%)、ブロイラーが約3,315万羽(26.3 %)、採卵鶏が1,677万羽(13.4%)となっており、大半が小規模農家の庭先 飼養となっている在来鶏の割合が高く、豚と同様な処理が行われてきたことを 示している。 不振が続く豚の農家出荷価格 2003年上半期の農畜水産物の出荷価格は、全品目の加重平均で前年同期比 3.9%の上昇となった。主要作物では、米がわずかに上昇したのに対し、家畜 飼料の主原料であり、輸入品との競争にさらされているトウモロコシは、2年 連続の低下(同2.4%安)となる1キログラム当たり6.62ペソ(約15円1ペソ =2.3円)であった。主要畜産物では、豚の価格のみが前年同期比で低下して いる。豚肉は、昨年末以降、主に中国から安い豚肉が輸入(不正輸入を含む) されており、首都マニラで養豚業者が輸入品搬入阻止のための実力行使を行う などの騒動になっており、供給過剰感から安値となっている。主要農畜産物の農家出荷価格の推移
(各年の上半期の平均価格:ペソ/kg) 【シンガポール駐在員 小林 誠 9月10日発】
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