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アルゼンチンでは3月に入り、家畜衛生をめぐる状況が好転しており、今後の食肉輸出の増 加を期待させる事項が幾つかあったので紹介する。 豚コレラのワクチン接種中止へ アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)は決議第834/2002号(2002年10月11日付け)に おいて「2002〜2004年豚コレラ撲滅計画」を定めた際、1998〜2000年の同計画で実施したウイ ルス活性の調査結果がゼロであったことに基づき、2004年5月に国際獣疫事務局(OIE)の 基準に沿った豚コレラ清浄国となるため、2003年4月を目途にワクチン接種の中止を目標とし ていた。(海外駐在員情報通巻第554号を参照)。 しかし、検査が不十分であったなど手続き上の遅れからワクチン接種の中止目標時期は延長 されていたが、このたびウイルス活性がゼロであったことが再び確認されたことなどから、ア ルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)は決議第308/2004号(2004年2月27日付け)を3月2 日に公布し、公布後60日からワクチン接種を中止することを正式に決定した。 また同時に、@豚コレラワクチンを接種した動物の輸入禁止A再発した場合には予防接種を 戦略的かつ国際基準に照らして実施B豚および感受性動物の製品等の輸入または国内移動の管 理C公的機関からの衛生証明書がない感受性動物の輸入または国内移動の禁止−などを定めた。 チリ、アルゼンチン産牛肉の解禁に向け合意 SENASAは2003年9月5日、アルゼンチン北部のサルタ州、ボリビアとの国境40キロメート ルに位置する農場で飼養されていた豚において、口蹄疫発生が確認されたことをOIEに報告 した。これに伴いチリは、9月5日からアルゼンチン全土を対象に食肉等の輸入を一時停止す ると発表した。(畜産の情報−海外編2003年11月号18〜19ページを参照。なおその後、南緯 42度以北が一時停止の対象地域となった)。 アルゼンチンはチリに、2003年1〜8月の期間で1万8,732トンの生鮮肉を輸出しており、 その時点でチリは輸出量および輸出額ともに2割を占める重要な輸出市場であった。このため 、アルゼンチンは、発生地域などに限定した停止措置により、他の地域からの輸入は認めるよ うにチリ政府に要請した。しかし、チリ側の回答は、チリ農牧庁(SAG)が定めた決議第833号 (2002年3月19日付け)により、ワクチン接種の有無にかかわらず口蹄疫清浄国または地域で 発生した場合、最終発生から6カ月間は輸入を禁止することが規定されているため輸入解禁は できない、というものであった。 3月9〜10日、アルゼンチンとチリの両衛生当局が家畜衛生や植物衛生について会談を持 ち、その席において、SAGの調査団が3月29日〜4月2日に発生場所等を訪問し衛生状態を確 認した後、4月30日までに輸入再開手続きを終わらせることとなった。 また、EUに対しても行動が起こされており、3月22日から SENASAのアマジャ総裁などが OIEにおいて衛生状態の向上を説明し、同25日にはEU委員会の保健・消費者保護総局にお いて交渉が行われた。EUは北部の4州(サルタ、フフイ、チャコ、フォルモサ)に対して、 2003年10月8日から生鮮肉の輸入禁止を実施しているが、衛生状態を調査するため4月19〜30 日に調査団を派遣することになっていた。これに対し今回アルゼンチンは、一連の手続きを早 めることを要請したが、EUは現行のスケジュールで実行すると回答したと報じられている。 なお、この動きに合わせるように、SAGPyAは決議第228/2004号(2004年3月22日付け)を同 24日で公布し、サルタ州5郡、フォルモサ州1郡に出されていた衛生緊急事態宣言を解除して いる。 米国と生鮮牛肉の輸出に向けた交渉 アルゼンチンでは米国に生鮮肉を輸出することに関して、2つのことが話題となっている。 1つはパタゴニア地域からの生鮮肉輸出である。南緯42度以南のパタゴニア地域はOIEから も承認されている口蹄疫ワクチン不接種清浄地域である。アルゼンチン政府はこの地域からの 食肉輸出交渉を米国と実施してきており、昨年12月には米国・カナダの衛生ミッションが現地 を訪問し確認作業を行っている。SENASAに協定はすでに結ばれたのか確認したところ「現在、 衛生条件について交渉中である」とのことであった。 もう1つは南緯42度以北から生鮮肉を輸出することである。南緯42度以北は口蹄疫ワクチン 接種清浄地域のステータスを留保されているが、すでに米国と協議を重ねている模様である。 報道によればカンポスSAGPyA長官は農業団体等に対し、米国は北東地域2州(チャコ、フォル モサ)等を口蹄疫侵入防止のための緩衝地帯とするよう提案しており、現在その可能性につい て、地域経済への影響を考慮しながら検討しているとのことである。緩衝地帯を設けることに より、米国の生鮮牛肉輸出解禁時期が早まると言われているが、北部の農業団体はこれに反対 を表明している。 【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成16年3月30日発】
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