ALIC/WEEKLY
2004年の鶏肉輸出量は前年比15%増の見込み 今年に入りアジアを中心に発生している鳥インフルエンザにより、多くの輸入国が発生国か らの鶏肉の輸入を停止しており、ブラジルは、数少ない供給国のひとつとして注目されている。 このようなことから、ブラジルブロイラー鶏肉輸出業者協会(ABEF)は、年初に2004年の輸出 量を前年比10%増と見通していたが、鳥インフルエンザの影響やロシアが輸入割当制度を見直 す可能性が出てきたことなどから、同15%増と上方修正している。輸出金額は、2003年に達し た20億ドル(約2,140億円:1ドル=107円)から22億ドル(2,354億円)まで増加すると予測して いる。 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2004年1〜2月の鶏肉輸出量(骨付きベース)は 前年同期比6.8%増の34万1,522トンであったが、輸出額は平均輸出価格の大幅な上昇により、 同39.7%増の3億4,251万ドル(約366億4千万円)となった。 平均輸出価格は、1トン当たり1,003ドル(10万7,321円)と前年同期の同766ドル(8万1,962 円)に比べ30.9%高となっている。 そのうち、日本向けについては、4万1,028トンと前年同期比を37.9%上回り、平均輸出価格 は同46.2%高の1トン当たり1,449ドル(約15万5千円)となった。その他の国についてみると、 香港が同4.9%増の3万2,491トン、アラブ首長国連邦が同16.8%増の1万9,425トンなどとなっ た。一方、サウジアラビアが前年同期比21.8%減の4万7,696トン、ロシアが同80.0%減の1万 105トンとなった。 輸出増を受け、業界は増産に意欲的 鶏肉輸出の急増を受け、ブラジル国内では生産農家を含め、業界が活況を呈している。全輸 出量の約3分の1を占める南部のサンタカタリナ州にはブロイラー加工処理施設が集中してい るが、これらの施設では輸出需要の増加に対応するため、生産ラインの拡張あるいは新設を行 っているとされている。 輸出パッカーランキング第5位のAURORA社では、現在1日当たり32万羽の加工処理能力を有 し、月間4千トンを香港、日本、中東、EUに輸出しているが、今後は日本向けの骨なしモモ 肉の輸出量を500トンから600トンへ20%増加させる計画をしている。
政府は鳥インフルエンザ対策を強化 一方、ブラジル農務省は、鳥インフルエンザウイルスの国内への侵入を防ぐため、衛生管理 対策を強化することを明らかにした。具体的には、衛生対策スタッフの増員をはじめ、クンビ ッカ(サンパウロ市近郊)およびビラコップス(カンピーナス市)空港やメルコスル諸国との国境 における生体鶏などの輸入制限、旅客の手荷物検査のために有機物に反応するエックス線探知 機を設置するほか、血清診断を実施する研究所の認定や全国の養鶏場の登録システムの導入な どを挙げている。 アルゼンチンも2004年はさらなる輸出増の見込み アルゼンチンは3月上旬にアジアに農産物輸出促進ミッションを派遣し、その成果が極めて 前向きであったと評価している。ミッションに参加した養鶏企業関係者は、「今後短期間のう ちに日本の主要な供給元となる可能性を確信した」とコメントしている。また、ミッション代 表の農牧水産食糧庁次官も、「中国やタイといった従来の輸入国からの輸入を停止している日 本では、新たな供給先をブラジル、アルゼンチンに求める動きがあるため、製品の衛生、価格、 品質について信頼に値する供給者となるべく一層の努力が必要」と強調した。 【ブエノスアイレス駐在員 横打 友恵 平成16年4月6日発】
元のページに戻る