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熱気を帯びるアイスクリーム商戦(タイ)



  タイの気候は一般に、乾期(11月〜4月)と雨季(5月〜10月)に大別されるが、その変わ
り目の3月〜5月にかけては暑季とも呼ばれ、4月中旬のタイ正月(ソンクラン)を中心に1年
で最も暑い時期を迎えるとともに学校も長期の休暇に入り、アイスクリーム販売が本格化す
る時期が到来することとなる。近年、タイ国内のアイスクリームの消費は10%前後の伸びを
示していると言われ、今年のアイスクリーム市場は約90億バーツ(243億円:1バーツ=2.7
円)と推定されている。

  アイスクリームを販売する各乳業メーカーは、この時期を中心に売上増加やシェア拡大に
向けてブランド商戦を活発化させている。



携帯電話の景品

 ネッスル(ネスレタイ社)は携帯電話の有力企業と提携し、アイスクリームの景品として
携帯電話が当たるキャンペーンを行っている。昨年10月にも同様のキャンペーンを行い、通
常月の30%増の売上を記録した。今回は3月と4月に、景品となる携帯電話を前回より1千
セット増やして3千セットにするとともにキャンペーン地域を拡大し、アイスクリームを通
常月の2倍となる400万〜600万個の販売を目指している。このため、同社は2億バーツ
(5.4億円)を投じてアイスクリームの製造ラインの拡充を図るとともに、それと同額以上
の費用を宣伝などのマーケティングに予定している。
 
  また、同様に携帯電話を景品にアイスクリームの販売量の拡大を狙っているのはクレモア
イス(チョムタナ社)である。同社は販売用の保冷ケースを現在の2万個から3万個に増加さ
せるとともに、景品の携帯電話の個数を前回の300セットから600セットに増加させるとして
いる。このため、5億バーツ(13億5千万円)を製造施設の拡充にそして3億バーツ(8億1千
万円)を販売促進に仕向けるとしている。


   
新製品の投入

  デイリークイン(マイナーデイリー社)は、現在、首都バンコクのデパートを中心に140
カ所ある販売拠点のほかに教育施設や大規模住宅地などに20カ所ほど増設する計画である。
同ブランドはソフトクリームを基幹商品として販売しているが、キャンペーンはテレビ、ラ
ジオ、新聞やチラシなどを使って毎月投入する新製品を宣伝することとしており、54万バ
ーツ(1憶4千万円)を費やし、前年比で30%の売上の増加を目指している。

  一方、同企業グループのスウェンセンズ(マイナーデイリー社)は、15億バーツ(40億5
千万円)と言われるプレミアムアイスクリーム市場の約80%のシェアを持つが、前回の20%
増の実績をもとに、今年は現在の96の販売拠点を更に30拠点増加させるとともに、2カ月
ごとに緑茶やマンゴー風味など数種類の製品を市場に投入することにより、今年も昨年同様
の20%増の売上を目標にしている。

  予算は昨年の1割増の6千万バーツ(1億6千2千万円)で、キャンペーンは十代の若者と子
供のある家庭を対象としている。



他のブランドも攻勢

  以上の各ブランドの販売攻勢に加えて、市場全体の40%を超すシェアを有するウォール
ズ(ユニリーバタイホールディング社)や地元タイ資本ユナイテッド(ユナイテッド社)
もシェアの拡大に努めるほか、ハーゲンダッツ(ハーゲンダッツアイスクリーム社)も16
の販売拠点を中心に、販売網を商店やレストランまで拡充させ、年毎に倍増させている販
売額を今年も同じペースでの拡大を目指している。

 このように、タイは暑い季節を迎えるとともにアイスクリーム商戦も過熱化している。


 
【シンガポール駐在員 斎藤 孝宏 平成16年4月7日発】 

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