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4年連続の減少となった生乳生産(亜)


  
天候不順により2003年の生乳生産も減少 

  アルゼンチン農牧水産食糧庁(SAGPyA)によると、同国の2003年の生乳生産量は前年比7.0%減
の800万キロリットルと4年連続の減少となった。この要因として、主要酪農地帯であるサンタフェ
州を中心とした水害やコルドバ州南部やブエノスアイレス州西部の干ばつなどが挙げられている。
サンタフェ州では前年比14.6%減、コルドバ州では同12.0%減、ブエノスアイレス州でも同0.6%減
といずれも前年を下回る結果となった。しかし、2003年第4四半期からは、生乳価格の上昇により、
収益性が向上するとともに、穀類などの飼料利用が増加したことで、生産は回復傾向にあり、2004
年には前年比5%増が見込まれている。

  また、2003年の1人1年当たりの牛乳・乳製品消費量(生乳換算ベース)は、前年比6.3%減の
180リットルとなった。2004年については、経済状況の回復や失業率の低下などにより、回復が期
待されている。

    

生乳生産の減少から輸出も減

  FAOによると、アルゼンチンは世界第14位の乳製品輸出国となっており、製品別でみると、粉乳
は同10位、チーズは同23位、バターは29位と報告されている。
 
  2003年の輸出量(製品重量ベース、ただし牛乳は粉乳換算ベース)は、国内生産量の約15%に当た
る16万8千トンとなり、前年を19.7%下回った。主要相手国は、輸出額ベースで、アルジェリア
(全輸出量に占める割合、以下同じ:18%)、ブラジル(17%)、メキシコ(11%)、チリ(10%
)、米国(7%)となった。中でも2002年に全輸出量の約4割を占めたブラジル向け輸出が前年に
比べ6割以上減少したことが大きい。これは、2001年2月より実施されているアルゼンチンとの価
格協定が引き続き影響した上に、ブラジル国内の景気低迷に伴う消費の停滞によるものなどとみら
れる。

  なお、生産量が減少し、チーズなどの乳製品の国内価格が上昇したことから、輸出量は前年を大
きく下回った一方で、乳製品の国際価格の上昇により、輸出額の下落は7.1%にとどまった。2004
年は、生産量の増加に伴い、輸出量の増加も見込まれている。
  
  一方、輸入については、2002年はほぼゼロに等しかったものの、2003年は上半期の生産量減少に
より、秋以降7万キロリットルが輸入された。国内生産量の1%以下のため、需給動向に与える影
響はほとんどないとみられる。



輸出入の推移     (単位:千トン、%)
  2002年 2003年 増減
チーズ 26.0 21.3 ▲17.9
牛乳 157.4 125.1 ▲20.5
その他 26.4 22.0 ▲16.5
合計 209.8 168.4 ▲19.7
資料:SAGPyA

 

生乳価格は大幅に上昇  

  2003年の乳価(乳業メーカーによる生乳1リットル当たりの生産者支払価格)は0.46ペソ(約17 
円:1ペソ=38円)となり、2002年の0.27ペソ(約10円)に比べ70.3%上昇した。5月初めに酪農 
乳業展の開催が予定されているが、この中で国、州、酪農生産者、乳業メーカーにより酪農乳業 
の現状について議論が交わされるものとみられ、今後の乳価の動向が注目される。 

  
               生乳価格の推移

 
資料:SAGPyA



なお、南米各国の乳価を比較すると下記の通りとなっている。 
                    (単位:USドル/リットル)
アルゼンチン
ウルグアイ
チリ
ブラジル
0.168 0.130 0.190 0.160
資料:infortambo



【ブエノスアイレス駐在員 横打 友恵 平成16年4月14日発】 


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