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欧州委、2011年までの農畜産物需給予測を公表


欧州委、EU25カ国による中期需給予測を公表

  欧州委員会は、EU25カ国(EU25)における2004〜2011年の穀物、食肉および牛乳・乳製品など主要
農畜産物に関する需給予測を公表した。本年5月のEU拡大に伴い、今回からEU25カ国での予測となっ
ている。なお、この予測は、2004年6月末までに入手可能な統計に基づいて本年3月に公表された「需給
予測」を更新したものである。また、今回の予測では、2003年6月に合意した共通農業政策(CAP)改
革で導入された生産と切り離した単一の直接支払いとともに実施される、既存のEU15カ国(EU15)別
に選択可能なオプションの実施を加味したものとなっている。
 
 EU25カ国の主要畜産物の需給予測は、次の通りである。





好調な予測の食肉分野 

  牛肉(子牛肉を含む)消費量は、2000年末に再燃した牛海綿状脳症(BSE)問題の影響から完全に回
復し、2003年には生産量を上回っており、この状態は2011年まで続く。牛肉の1人当たりの消費量をみる
と、EU25では、2004年以降17.7キログラム前後で推移するが、EU15では同19.7キログラム前後である
のに対し、新規加盟10カ国(NMS10)では7.5キログラム前後とEU15に比べて低い水準にある。

 牛肉生産量は、2005年初めにはイギリスでの30カ月齢以上の牛の廃棄処分対策(OTMS)の段階的見
直しなどにより、2006年まではいくぶん増加するが、その後減少する。価格は域内の供給不足と安定した
需要により、比較的高いレベルで推移する。

 豚肉生産量は、域内外での需要の増加が見込まれることから増加する。消費量は、伸び率では鶏肉には
及ばないものの、緩やかに増加する。豚肉の1人当たりの消費量は、2004年の44.2キログラムから2011年
には46.0キログラムになり、この増加傾向は主にNMS10において顕著で、2004年の47.5キログラムから
2011年には54.0キログラムと大幅に増加する。

 鶏肉生産量は、2003年春のオランダでの鳥インフルエンザの発生で、2003年の生産量は前年に比べ2.0
%減少したが、徐々に回復している。また、@価格面でほかの食肉より優位にあること、A消費者のし好
が強くなっていること、B鶏肉を使用した調製品が増加したこと−など鶏肉生産にとって好ましい状況が
続くと見込まれている。



バター、脱脂粉乳は生産、消費とも減少

 生乳生産量は、生乳生産枠(クオータ)のわずかな増加に伴い増加する。EU15の乳用経産牛の飼養頭
数は毎年減少するが、1頭当たりの乳量が毎年約1.6%増加するので生乳生産量は安定的に推移すると見込
まれている。NMS10での1頭当たりの乳量も毎年増加するが、EU15と比べて2011年で約24.7%低いと
見込まれている。
 
 チーズ消費量は、増加するが、過去と比較するとその増加率は緩やかである。1人当たりの消費量も増
加するが、これはNMS10での増加が顕著であり、2011年には、2004年と比べて24.6%増加する。また、
生産も同様に増加する。

 バター生産量は、CAP改革の下で本年7月1日から実施されている介入価格の引き下げにより減少す
る。消費量は減少するものの減少傾向は歯止めがかかる兆しがみられる。

 脱脂粉乳は、生産、消費とも減少する。生産量は、チーズなど付加価値の高い製品の増加により、大幅
に減少する。この生産量の減少に伴い、徐々に介入在庫が減少し、2008年末には解消すると見込まれてい
る。


 


【ブリュッセル駐在員 山崎 良人 平成16年8月18日発】

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