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NCBAの2004年夏季会議が開催 全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は8月18日、今月9日から13日かけて行われた2004年夏季会議にお いて決定された、NCBAが今後取り組むべき最優先事項の内容を公表した。その内容は、BSEに対応するた めの規則制定や家畜IDに関する取り扱い、貿易の正常化、更には秋の大統領選挙に対する支持体制など多 岐にわたっている。ライナスNCBA会長は、我々NCBA会員の声(今回の決議事項)は必ず米政府に届くこと になると述べた。 NCBAは約3万3千の個人会員と、45の各州牛肉協会および40の関連団体(関連団体会員約23万戸の肉牛 生産者)を直接会員とする、全米最大の肉牛生産者団体であり、アメリカ食肉協会(AMI)とともに牛肉 関連の政策決定に強い政治力を発揮するとされている。会議で決議された主な事項は次の通りである。 ○BSE規則 現在行なわれている強化されたBSEサーベイランス検査プログラムが終了(米国農務省(USDA)は12か ら18カ月間と発表)するまではBSEに関する最終的な規則制定を実施しないようUSDAや食品医薬局(FDA) などに要請する。サーベイランス検査プログラム実施の結果、追加的な規則制定が必要であると示唆され る場合、その追加的な規則はBSEのリスクを軽減することを立証するためのハーバードリスク分析モデル に沿うものでなくてはならない。 ○家畜IDに対するプライバシー問題 全国家畜個体識別システム(NAIS)の実施によって、生産者の施設や家畜の記録など生産者のプライバ シーに関する情報の機密保持ができるのか懸念している。これらの情報は、BSEにおいて陽性の確定診断 が出された場合、家畜疾病発生時に非常事態の通知が出された場合、トレーサビリティーの必要性がある 疾病が発生した場合のいずれかに限り利用されることを提言する。 ○NAIS導入に対する監視 NAISの導入が我々の肉牛生産や流通機構に多大な影響を及ぼすのは必至である。NAIS導入に対する監視 を強めるとともに、NCBAはNAIS導入の監視に重要な役割を果たすつもりである。 ○日米牛肉貿易 NCBAは米国でのBSE発生後、日本との牛肉貿易の再開を要請し続けている。両国間で貿易再開のための 科学的見地に基づいた調和のとれた規則の制定に取り組むべきである。 ○貿易関係の正常化 NCBAは自由で公正な貿易を支持している。米国とカナダの貿易問題が解決されるまでに主要な牛肉輸入 国が米国からの牛肉や牛肉製品の輸入再開をする見込みはない。従って、この米国とカナダの貿易問題は 科学的見地に基づいて解決されるべきである。このことにより米国の牛肉生産者は、海外市場への公正で 平等な権利を有することになり多大な経済的優位性を持つことになると確信している。米国とカナダにお ける生体牛、すべての牛肉および牛副産物の貿易に対する関係が正常化するよう米国政府に強く要請する。 ○カナダの助成プログラム NCBAは北米の公正で平等な貿易と不公平な補助金制度の廃止を支持している。カナダの助成プログラム は、国内における畜産物生産者やほかの商品の生産収益を保護するために構築されたものである。NCBAは 同国の国内農業所得安定プログラム(CAIS:Canadian Agricultural Income Stabilization)などの廃止 を支持する。 ○ブッシュ現大統領支持 NCBAの政治活動委員会(NCBA−PAC)はこれまで両政党(共和・民主)の大統領候補に対する財政的支 援に備えるために積極的に会員からの任意の寄付を受け付けてきたところである。NCBAの会員は、ブッシ ュ現大統領の政策がNCBAの方針に沿ったものであり、そして彼がアメリカの肉牛生産者の支持者であると いうことを承知した。従って、我々は全会一致で、今秋の大統領選挙でブッシュ現大統領を支持するとと もに、NCBA−PACに彼への財政的支援を指示する。
【ワシントン駐在員 道免 昭仁 平成16年8月18日発】
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