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米国食品医薬品局(FDA)は追加的な対策の概要を発表
FDAは1月26日、ベネマン農務長官が12月30日に公表したBSEまん延防止のた めの具体的な対策に加え、食料・化粧品等へのダウナー(歩行困難牛)由来原料 の使用禁止、反すう家畜由来動物タンパクの反すう家畜への給与禁止に関する例 外の廃止など、対策の概要を発表した。これらの改正規則は近日中に公表され、 これと同時に施行されるとともに意見公募が行われる。飼料関連の対策について は緊急性が高くないとして、これまでの特定危険部位の除去等の対策とは異なり、 通常の手続きを経て改正を行うとしていた。公表された対策の概要は以下のとお り。 @ 食料(栄養補助剤を含む)および化粧品について、ダウナー牛・死亡牛由来 の原料、特定危険部位(SRM)、既に米国農務省(USDA)により食用が禁止さ れた機械的除肉・先進的食肉回収システム(AMR)による肉の使用を禁止する。 A 最近の科学により血液がBSEの感染源を媒介する可能性が示唆されていると して、反すう家畜由来動物タンパクの反すう家畜への給与禁止の例外規定であ ったほ乳類の血液・血液製品を牛以外の反すう家畜用の飼料のタンパク源とし て使用を禁止する。 B 家きんの飼料残さはこれまで肉用牛と大規模な家禽の農場が隣接して存在す る国内のいくつかの地域で反すう家畜への飼料原料として利用されてきたが、 肉骨粉などの反すう家畜への給与が禁止されている飼料を含む可能性があるこ とからこれを禁止する。 C 大規模なレストラン等からレンダリングに回されていた食料残さについて、 禁止されている飼料との区別が困難であることから、家畜飼料に関する規則の 強化の観点から、反すう家畜の飼料原料としての使用を禁止する。 D 飼料の交差汚染の防止を強化するため、反すう家畜への飼料としての使用が 禁止されている製品を用いて非反すう家畜用の飼料を製造している施設等が反 すう家畜用飼料も製造する場合にあっては、施設、工場、製造ライン等の分離 を求める。 E なお、FDAはAからDの遵守の確保のために飼料工場やレンダリング施設へ の査察を実施する。 BSE陽性牛と同一農場から米国内に輸入された81頭の追跡 1月26日、USDAディヘブン首席獣医官は、BSE陽性牛と同時期にカナダ・アル バータ州の生産農場から米国内に輸入された81頭のうち、国際獣疫事務局(OIE) が定める出生同期牛(発生牛の誕生日の前後1年に誕生)は25頭であったことを 明らかにした。このうちの14頭について既に追跡が終了している。米国における 搾乳牛の通常の飼養状況から推計すると現状で生存していると推定される頭数は このうち11頭であり、高いレベルで追跡がなされていると国際的なBSEの専門家 チームからも評価を受けているとした。 米ゼーリック通商代表2月にBSE問題などのために日本を訪問 米国議会上院農業、栄養、森林委員会は1月27日、BSE発生後の近況に関する 公聴会を開催した。ベネマン米国農務長官は、輸出再開問題に関連し、ゼーリッ ク通商代表が、2月の第2週にWTOとBSE問題について議論するために日本を訪問 する予定であることを明らかにした。また、委員からはサーベイランスやSRMの 扱いなどについてその適正を問う質問がなされたが、ベネマン長官は、既にサー ベイランスの対象頭数はこれまでの約2万頭でもOIEの基準をはるかに上回る水 準にあること、SRMの30カ月齢以上と未満の扱いが異なるのはOIEの基準に基づく ものであるなど従来からの説明を繰り返した。
【ワシントン駐在員 犬飼 史郎 平成16年1月28日発】
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