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有機生産は伸び悩むも有機牛肉の輸出は回復(亜国)


  
有機生産面積は2年連続減少 

  アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)が公表した「2003年におけるアルゼンチンの有機生産の状況」によ
ると、生産面積は前年比1.1%減の273万1千ヘクタール、有機農畜産物および加工製品を合計した有機製品の生産量は同
0.6%増の5万1千トン、輸出量は同2.1%増の4万9千トンとなっている。

  アルゼンチンの有機生産に係る統計は1998年以降が公表されており、2002年に初めて生産面積および生産量が前年を下
回り、本年は生産量は微増したものの、生産面積は引き続き減少した。SENASAはレポートの中で、「有機生産の成
長速度が減少している」と分析している。

  また、2003年の追跡調査対象農場数と面積(有機製品として認定を受けるために調査対象として登録されている農場数
と面積)は、2002年の1,779農場、295万9千ヘクタールから1,781農場、295万1千ヘクタールとほとんど変化していない。
しかしレポートでは、追跡調査対象の畜産面積は、少数ではあったが大規模生産農場が有機生産システムから離脱したこ
とにより減少していると報告している。
 
  また、用途としては例年と同様に輸出用が主であり、主要輸出先はEUで、その主要製品は大豆(8,190トン)、洋ナシ
(5,621トン)、たまねぎ(4,778トン)、りんご(4,204トン)などになっている。

  なお、例年輸出の主力製品であったパン用小麦(2002年:5,954トン→2003年:2,445トン)やトウモロコシ(同4,182ト
ン→同2,414トン)の輸出は半減しているが、これはEU向けが減っているためであると分析している。

    

有機畜産の飼養頭数は減少

  有機による家畜の飼養頭数は減少傾向となっている。牛は2002年は12万2千頭が追跡調査対象であったが、2003年は12
万1千頭と対前年0.8%減、羊は同75万5千頭が同69万6千頭の同7.8%減、山羊は同4万4千頭が同2万5千頭と同43.5
%減となっている。

  なお、飼養頭数と追跡調査対象の畜産面積が減少していることについてSENASAや有機製品認定機関は、有機製品
として売れず登録料などの負担を避ける傾向が見られたと分析しており、有機製品として販売することの難しさをうかが
わせる結果となった。



有機牛肉は輸出増加

  一方、有機牛肉の輸出量は、2002年は50トンだったものが270トンとなり、口蹄疫発生や経済危機の影響が見られる前
の2000年の522トンには及ばないものの回復傾向となっている。なお輸出はほぼ全量の269トン弱が英国向けとなってい
る。






【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成16年6月30日発】 


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