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欧州委、TSEのモニタリングおよび検査に関する報告書を発表 欧州委員会は先頃、2003年のEUにおける伝達性海綿状脳症(TSE)に関する反すう家畜のモニタリングお よび検査報告書を発表した。欧州委員会は、EUで牛海綿状脳症(BSE)検査が義務付けられた2001年からこ の報告書を作成しており、その年の反すう動物(牛、羊、ヤギ)でのTSE検査結果などをわかりやすくとりま とめて公表している。 この報告書の基礎となるデータは、加盟国からの情報をもとに作成されており、今回の報告書からは、本年5 月にEUに加盟した10カ国についての結果も掲載されている。 欧州委員会によると、「2003年のモニタリング方法は、2002年のそれと同様のものであり、その結果からはこ れまでに実施されたTSEに対するさまざまな対策の効果がでており、EUのBSEの状況はかなりの改善があ った。しかし、BSEの完全なる撲滅までにはかなりの時間がかかる」とコメントしている。 2003年の報告のうち牛に関する概要は以下の通り。 検査頭数は1千万頭超 EU15カ国での、2003年のBSE検査頭数は、約1,004万頭であった。この頭数は、同年における24カ月齢を 越える牛の飼養頭数の約26%に相当する。 検査頭数の内訳を見ると、食用向けにと畜する牛のアクティブ・モニタリングとして実施された頭数は、リ スクのある牛で約129万6千頭、健康な牛で約871万6千頭であった。また、臨床症状からBSEが疑われた場合 に確定診断のために検査された頭数は2,578頭、BSE撲滅のため、BSE感染牛の子牛、感染牛と同一環境で 育った牛、同一飼料を与えられた牛については、と畜し検査され、この頭数は約2万5千頭であった。 BSE確認頭数は前年比36%減の1,364頭 2003年のEU15カ国でのBSE検査により陽性であった牛の頭数は、前年比36%減(767頭減)の1,364頭で あった。オーストリア、ギリシャ、ルクセンブルグ、フィンランド、スウェーデンを除くすべての国で確認さ れた。陽性の頭数を検査内容別に見ると、アクティブ・モニタリングによるものが全体の約78%の1,058頭、B SEが疑われた牛を検査したものからは同22%の306頭であった。 BSEの発生頭数が最も多いイギリスでは、2002年の1,130頭から2003年は614頭と大きく減少した。イギリ スでのBSE検査頭数が、前年に比べ増加したにもかかわらず、陽性の頭数は減少した。 新規加盟10カ国でのBSE確認頭数は12頭 本年5月からEUに加盟した新規加盟10カ国での検査頭数は、94万5,042頭であった。BSE検査により陽性 であった牛の頭数は、チェコ(4頭)、ポーランド(5頭)、スロベニア(1頭)、スロバキア(2頭)の合計 12頭であった。なお、新規加盟国のうちこの4カ国以外ではBSEはまだ確認されていない。 本レポートは以下のアドレスより入手可能となっている。 http://europa.eu.int/comm/food/food/biosafety/bse/annual_report_tse2003_en.pdf 【ブリュッセル駐在員 山ア 良人 平成16年6月30日発】
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