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USTR、WTO交渉の枠組合意に加盟国の努力を要請


 
米国通商代表部、TNCでの声明を公表

  米国通商代表部(USTR)は6月30日、同日に開催された世界貿易機関(WTO)貿易交渉委員会(TNC)
での同国の声明を公表した。WTOでは7月末までに交渉の枠組みについて合意することを目指し、鋭意議論が
進められており、利害の共通する複数の加盟国グループなどによる動きも活発となっている。同声明のうち、農
業部分は以下の通り。

  農業がほかのドーハ開発計画の主要課題での進捗の鍵であることは疑う余地がない。(農業委員会特別会合議
長からの貿易交渉委員会への)報告は、我々がカンクン閣僚会議から必要な枠組みを発展させてきた経過を示し
ている。

 特に、以下の構想は加盟国間での詳細な議論の核心そのものである。

・輸出補助金の明確な廃止時期を定め、ほかの貿易わい曲的な輸出慣習についてもこれと整合性の取れた扱いと
 すること

・貿易わい曲的な国内支持の実質的削減(例えば、あらゆる貿易わい曲的な国内支持についてウルグアイラウン
 ド合意よりも大幅な実質的削減を行う)

・高関税品目は他品目より大幅な削減を行うことが保証される、ウルグアイラウンドで用いられた方式よりもよ
 り効果的な関税削減方式(フォーミュラ)による市場アクセスの実質的な改善
  
 加盟国は、上記またはその他の重要な改革をもたらす関税削減方式やルールの枠組みを作るための非常に詳細
かつ実質的な議論を行ってきた。顕著な隔たりがあり、いくつかの重要な課題について本質的な差異が存在する
ものの、進展が図られている。

 農業委員会特別会合議長により統率されている議論は、特定の関税削減方式や概念に関する論点の明確化や交
渉の進展を促進している。

 グローサー大使(農業委員会特別会合議長)のプレゼンテーションでも触れられたように、輸出補助金、国内
支持および市場アクセスの3つの柱すべてに対し、ドーハ開発計画の指示に適合する交渉を行い、交渉の次の段
階に加盟国を導く野心と特殊性がともに与えられることが確実となるよう、技術的および政治的なレベルの双方
において、これからの数週間、より多くの努力が我々全員に求められるであろう。

 しかし、我々は農業での結果が配達されるのを傍観して待つ余裕はない。パッケージとしてまとまるよう、ほ
かの要素についても7月までに準備をしなくてはならない。この議場において多くの加盟国が注意喚起しようと
したように、すべてが合意されるまで何も合意されない。



スパチャイWTO事務局長は今後2週間のうちに全体の草案を配布

  TNCの開会に際し、スパチャイWTO事務局長は、「これまでの閣僚レベルへの集中的な働きかけにおいて
、強力な政治的な公約を得ることができたが、ジュネーブでの交渉ではそのような公約が反映されていないこと
に不安を募らせている」とした。また、7月末までに残された時間は限られており、意見の収れんのため、「加
盟国間の相違を広げて意見の集約を困難とするかたくなな姿勢ではなく、真に交渉を進めようとする柔軟性のみ
が求められている」とし、交渉のこう着打開に向けた加盟国の努力の必要性を強調した。

  なお、意見の相違や括弧書きが現時点では残っているが、これを最小限のものとした全体的な一次案を2週間
以内に加盟国に配布する予定であるとした。




【ワシントン駐在員 犬飼 史郎 平成16年7月7日発】

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