ALIC/WEEKLY


ブラジル北部で口蹄疫の発生を確認


  
アマゾン川流域の郡の3頭から陽性反応 

  ブラジル農務省によると6月17日、ブラジル北部地域に属するパラ州の北西部、アマゾン川流域のモンテ・ア
レグレ郡の牛3頭から研究所の検査により口蹄疫陽性反応が確認された。所有者は6月2日に口蹄疫の疑いがあ
ることを州の防疫部に報告し、翌日には農場が閉鎖されている。

  同省動物防疫部長によれば、発生地は口蹄疫清浄地域から700キロメートル離れており、すでにパラ州在住の
農務省と州農務局の獣医師がそれぞれ現地に派遣された。また、問題が起こっている範囲を定めるため、隣接所
有地における疾病・衛生検査を実施するほか、家畜の移動(アマゾン川の水上移動を含む)を監視するため監視
所も設置された。

  同部長は、発生地域のモンテ・アレグレ郡へは航空機または船でのアクセスに限られるため、家畜の移動の可
能性は低く、また、同地で生産された牛肉は地元での消費に限定されていることから、この発生により、2005年
に向けて計画された口蹄疫撲滅計画やブラジルの食肉輸出に影響はないであろうという見方を示している。

  モンテ・アレグレ郡の家畜飼養頭数は、牛17万1,865頭、水牛3,436頭、豚2,093頭、小規模反すう動物2,209
頭となっている。

  なお、農務省の口蹄疫計画マネージャーは、「この地域は将来的に清浄地域にするために家畜衛生システムを
構築しつつある段階で、口蹄疫の発生は起こり得ることととらえている。感染拡大を避けるため、牛郡を殺処分
する可能性は否定しないが、すべての検査が終了した後に決定することになる」と述べている。

  また、ブラジル農務省はすでに国際獣疫事務局(OIE)に対し、口蹄疫の確認を通報している。ブラジルでの
口蹄疫発生は、2001年8月にマラニョン州で発生して以来34カ月ぶりとなる。現在、全国の牛飼養頭数1億8,200
万頭のうち、88%がワクチン接種清浄地域内にある。

    

ロシア、アルゼンチンはブラジルからの食肉輸入を中止

  ロドリゲス農相は6月19日、ロシアがブラジルからの食肉輸入を中止したことを公表した。農相は、ロシアの
措置は一時的なものであり、発生場所や問題の規模が明らかとなれば今回の措置は撤回され、輸入が再開される
だろうとの見通しを立てている。

  ロシアはブラジルの牛肉輸出の12%を占めており、エジプト、チリに続く第3位の市場であり、2004年1〜5
月までの輸出額は5億9,520万ドルとなっている。

  また、アルゼンチンも農畜産品衛生事業団(SENASA)による22日付けプレスリリースで、ブラジルから
の食肉輸入の一時中止を発表した。

 業界では、今回の口蹄疫問題が輸出に影響することはないが、輸入国側ではブラジル政府の対策を注意深く観
察するだろうとみている。

 一方、政府は引き続き衛生監視体制を強化する必要があることから、新たに200名の獣医師を採用したことな
どを明らかにしている。



米国は静観

  農務省によると、米国は今回の口蹄疫発生問題が、米国が進めている清浄地域からの輸入解禁プロセスを阻害
するものではないとしている。しかし、輸入解除がいつになるかは明らかにされていない。ブラジルはこれまで
、米国に対し、生鮮肉の輸出は行っておらず、加工肉の輸出に限定されている。
 
  なお、6月23日付け農務省のプレスリリースでは、ロシア、アルゼンチンともに24日に輸入停止を解除する予
定と報告されている。



【ブエノスアイレス駐在員 横打 友恵 平成16年6月23日発】 


元のページに戻る