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2003/04年度、04/05年度とも上方修正 ニュージーランド(NZ)の巨大乳業メーカーであるフォンテラは6月10日、2003/04年度の生乳生産者に対 する支払い乳価(乳固形分ベース)見込みを以前発表した1キログラム当たり4.15NZドル(282円:1NZド ル=68円)から4.23NZドル(288円)、同様に2004/05年度の暫定支払い乳価(「海外駐在員情報」通巻第619 号参照)を3.50NZドル(238円)から3.85NZドル(262円)に、それぞれ引き上げる方針を発表した。 ・同社のヘイデン会長は、今回の乳価の上方修正について、輸出企業といえる同社の経営を左右する乳製品 の国際価格と為替相場の最近の動向を背景にしたものと次のように述べている。 ・同社が最後に両年度の乳価を検討して以来、国際価格は上昇傾向で推移したため、2004/05年度の収益増と ともに、2003/04年度の収益に対する「年度末の追加」が可能であると判断した。 ・加えて、同社が4月に2004/05年度の暫定支払い乳価を正式に発表した以降のNZドルのUSドルに対する 下落傾向も、同年度のより高い乳価見込みを可能とした。 しかしながら、同会長は、現在の国際価格の水準は歴史的にも高いものであるが、逆に国際需要が鈍化し、 ある程度収益を減少させる可能性があるため、生産者に国際価格が上昇し続けることを過度に期待しないよう 注意を促している。 2003/04年度は年度末の生産、輸出の好調も要因 NZでは2003/04年度中、南島の乾燥気候や北島の洪水被害など気候要因において生乳生産への影響が懸念 される事象もあったが、NZ農林省の最新の予測では前年比4.2%増の1千5百万キロリットルの生乳生産量 が予測されている。 フォンテラによれば、年度末、特に4月と5月における好調な生乳生産も2003/04年度乳価の上方修正に寄 与したとしている。NZの生乳生産の傾向は3月までが最盛期で4月以降は下降期に入るが、良好な秋季の牧 草の生育状況によって同社傘下の生産者は、4月としては最高の87万8千キロリットル(最近の月別数値は非 公表のため正確な比較はできないが、参考まで2002年4月は76万キロリットル)の生乳生産を記録したとされ る。 また、その期間の生乳生産の増加に即応した輸出も乳価の上方修正の要因であるとしている。同社では、増 加した生産にフォンテラ製品の世界的な供給・販売網が迅速に対応した結果、年度末にかけて強い国際需要と 高い国際価格をフルに利用し、記録的な生乳生産を記録的な売上として実現できたとしている。同社は5月に 単月の記録としては同社最高の25万トンを超える製品販売量により販売高で10億NZドル(680億円)を計上し 、「5月にNZから船積みされた乳製品は、世界中のすべての人々にコップ1杯のミルクを提供したことに相 当する」とその規模を比ゆしている。 加えて、同社の製品在庫が過去1年にわたって低水準で管理されたことによる財務面での負債の減少も、乳 価の上方修正に大きく寄与したと関係者はみている。 低水準の乳価展望の中、酪農家は歓迎 生乳生産者は、フォンテラが2004/05年度の3.50NZドルという当初の近年で最も低水準の暫定乳価を検討 していることを発表した際、失望感を表していた。しかし、今回同時に発表された乳価の上昇分により、平均 酪農家収入で2003/04年度に7,000NZドル(47万6千円)、2004/05年度に31,000NZドル(211万円)の増加 が見込まれることから、今後数年にわたり乳価が低水準で推移するとみられている中での、このニュースを歓 迎している。
【シドニー駐在員 粂川 俊一 平成16年6月23日発】
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