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第15回世界食肉会議、カナダ・ウィニペグで開催


  第15回世界食肉会議(World Meat Congress)が6月14日から16日まで、カナダのマニトバ州ウィニ
ペグで開催された。今回の会合では、昨年の北米における2例のBSEの発生、近年の南米地域におけ
る畜産の発展、炭水化物の摂取を抑えるローカーブダイエットなどについて多数の講演が行われた。



スペラー加農相、科学に基づいた輸入検疫を求めるとともに環境持続的な生産の推進を表明

  開催国であるカナダのボブ・スペラー農相はBSEについて、同国にとって牛肉は主要な輸出農産品
であり、同国経済の牛肉輸出への依存は高く、経済に深刻な影響を与えているとし、科学に基づいた輸
入検疫措置の実施を輸入国に対して強く求めた。また、BSEは世界的なレベルでの食品安全や家畜衛
生についての議論を行う機会を与えたとし、カナダとしては今後環境持続的かつ食品安全に配慮した高
品質な農産物の生産を進めるとの方針を示し、このような農産品は世界市場に受け入れられると信じて
いるとした。



フィシュラー委員、ドーハ開発計画の推進に意欲

  EUのフィシュラー農業委員は食肉生産はEU農業にとって最大のものではないが、近年大きな変化
をとげたものの一つであるとした。BSE、口蹄疫、鳥インフルエンザなどの家畜伝染病により世界的
に困難に直面しており、家畜衛生や食品安全について国内政策の見直しが求められるとともに、消費者
の求める高い水準に適応していかなければならない。EUの2003年の牛肉輸入量は過去最高を記録し、
特に南米諸国はEU市場に競争力のある価格で参入できた。EUとしては途上国に対し貿易機会が最大
となるよう技術支援を講じていく。ドーハ開発計画の実現のためには国内支持を単純なものとして輸出
競争力を滋養する必要があり、食肉については、品質の向上の支援を主体とした政策を推進していくと
した。

  出席者からは、輸入関税や国内支持を引き下げつつ品質の向上を図ることは輸出競争力を引き下げる
のではないかとの懸念が示された。これに対し、現在目指している新たな仕組みは需要と供給を調整し
ていこうとするものである。輸出補助金の縮小などにより輸出競争力が減少する可能性もあるが、EU
に新たに加盟した10の加盟国の経済成長に伴う域内での需要の増加も見込まれるので問題はないとの見
方を示した。
  


米国農務省、全国家畜IDプログラムに関する公聴会の開催を発表

  国際獣疫事務局(OIE)のティアマン家畜衛生コード議長は、北米の牛肉生産者の多くが輸入検疫
措置は科学に基づくべきと主張するものの、その多くはOIEの存在すら承知していないとの懸念を示
した。出席者からの日本の全頭検査についてどう考えるかとの質問に対し、世界貿易機関(WTO)衛
生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)は、輸入国が自らの判断で輸入検疫措置を決定する
権利を認めているとした上で、全頭検査は食品安全上の措置ではないとした。また、今後の日米間での
交渉を進める上では米国によるサーベイランス実績の積み重ねがカギとなるとの考え方を示した。




南米諸国は先進国の動物検疫に懸念

  アルゼンチンおよびブラジルからの講演者は、先進国の口蹄疫に対する動物検疫措置が南米からの食
肉の輸出機会を制限しているとし、柔軟性を求めた。

  また、最近流行している炭水化物の摂取量を抑えるローカーブダイエット法については、食肉消費に
影響を与えないとの点からも注目されているが、栄養学の専門家からは、短期的なダイエット法として
の効果は証明されているものの、長期にわたり同ダイエットを継続することは栄養上のバランスを欠き
好ましくないとし、この点を踏まえた活用が好ましいとの指摘がなされた。

  次回のワールドミートコングレスは2年後の2006年に豪州で開催される。

【ワシントン駐在員 犬飼 史郎 平成16年6月23日発】

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