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2003年の農業収入はわずかに増加
欧州委員会は2月23日、2003年におけるEUの農業に関する統計と経済情報に関する 報告書を公表した。 この報告書によれば、2003年のEUにおける農業概要は、以下のように見込まれてい る。 2003年は、牛乳と豚肉を除く畜産物、穀物など全般的に生産量が少ない年であった。 農産物の価格は、加盟国によりばらつきはあるものの、穀物、果物野菜、家きん肉およ び鶏卵で上昇し、てんさい、ジャガイモ、豚肉および牛乳で下降した。その結果、農業 収入はEU全体としては前年比0.9%増とわずかに増加した。ドイツでは同 14%減とな っている一方、イギリスでは同20%増となっており、加盟国によりばらつきが大きい。 畜産物の動向
主な畜産物の特徴的な動向について見ると、2003年の牛肉の生産は、前年に比べ2.35 %の減少となった。ドイツ、オランダおよびベルギーで減少(前年比9%減)している 一方、スペイン(前年比10%増)、アイルランド(前年比3%増)と増加している。牛 肉の消費量は、2001年の牛海綿状脳症(BSE)問題再燃以前の水準に戻りつつあり、 このような消費と生産の差は、主に南米からの輸入により賄われた。 豚肉については、2003年の生産は前年に比べ0.8%増加し、価格は9月に上昇したもの の、全般的に低い水準で推移した。 2000年から2002年まで増加していた家きん肉の生産は、2003年はわずかに減少する ものと予測されていたが、オランダにおける鳥インフルエンザの発生と夏の猛暑による 影響により、実際には予測以上に(前年比4.5%減)減少した。一方、価格は、2003年 の第1四半期は1996年以降の最低水準で推移したが、生産の減少により記録的な高価格 になった。その後価格は落ち着いてきたが、2003年10月時点でも依然、例年に比べ高い 水準にある。 鶏卵価格も4月から8月にかけて記録的な高価格となり、いったん落ち着いたがその 後再び上昇した。 乳製品の消費量は、2002年は前年に比べわずかに減少したが、2003年にはわずかな がら(0.6%)に増加に転じた。バターの需要は依然安定しているものの、チーズの消 費量増加の程度は小さくなっている(近年の推移を基に、当初から2.3%の増加と予測 していたが、実際には0.9%の増加であった)。 ◎ 欧州でも米国産家きん等の輸入を一時停止 欧州委員会は2月24日、米国のテキサス州における鳥インフルエンザが、高病原性 であることが確認されたことを踏まえ、デビッド・バーン委員(保健・消費者保護担 当)より提案された、米国からの生きた家きん、卵およびペット用鳥のEU域内への 輸入を3月23日まで停止する案を承認した。 【ブリュッセル駐在員 関 将弘 平成16年2月25日発】
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