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牛肉生産量、2006/07年度まで減少傾向で推移 先頃、ニュージーランド(NZ)農林省(MAF)が発表した2006/07年度(10月〜9月 )までの中期牛肉需給予測によると、NZの牛肉生産量は引き続き減少傾向で推移すると見 込んでいる。 NZの肉牛農家は、収益悪化により、経営規模の縮小や酪農や養鹿、林業など収益性の高 い経営に転換する傾向が続いている。肉牛の飼養頭数は1995年6月の518万頭をピークに減 少してきているが、MAFでは、この傾向が今後も続くとみている。2006年6月の肉用牛の 飼養頭数は2002年9月の450万頭から、約13%減の391万頭にまで減少すると予測している。 また、近年、牛肉生産量もおおむね減少傾向で推移してきたが、2002/03年度は天候不順 で牧草の生育が悪く、と畜頭数が増加したため前年度比14%増の66万トン(枝肉換算、以下 同じ。)となった。しかし、2006/07年度の牛肉生産量は、飼養頭数の減少に伴い、2002/ 03年度に比べ約6%減の61万8千トンと見込んでいる。なお、牛肉生産量は今後も乳用牛の 飼養頭数が増加すると見込んでいることから、酪農家から出荷される経産牛が増え、肉用牛 飼養頭数の減少率ほど減少しないとみている。 輸出量減少も米国向け輸出への影響低い 2002/03年度の輸出数量は、生産量の増加に伴って、前年度比15%増の54万4千トンとな った。しかし、輸出総額は、輸出価格の低迷とNZドル高により、前年度比9%減の15億9,000 万ドル(約1,193億円:1NZドル=75円)となった。 また、2006/07年度の輸出数量は、生産量の減少に伴い、2002/03年度に比べ約7%減の 508千トンになると見込んでいる。 NZ産牛肉の最大の輸出先である米国への輸出量は2002/03年度の総牛肉輸出量の58%を 占め、加工向け牛肉でみると、その77%を輸出している。このことから、米国への輸出に対 する生産量減少の影響度が注目されるところであるが、酪農家から経産牛の出荷が多くなる ことから、加工向け牛肉の比率に大きな変動はなく、米国の輸出割当量(21万3,402トン) は充足されると見込んでいる。なお、牛肉輸出価格についても、米国での需給状況やNZド ルの対USドル相場により大きく影響される。 NZ食肉公社、日本向け輸出量倍増可能と発表 MAFの需給予測は、米国でのBSE発生前に行われたものであるが、ニュージーランド 食肉公社は2月初旬、米国での牛海綿状脳症(BSE)の発生による日本の米国産牛肉輸入 停止を受けて、2004年の対日年間牛肉輸出量を昨年の2倍に当たる3万5,000トンに増やす 用意があると発表した。 ◎ フォンテラの2004年前期決算は減収 NZ大手乳業メーカーフォンテラが発表した2004年度前期決算(6月〜11月)によると、 総収益が約56億3,500万ドル(約4,226億円)と、前年同期比で3億4,500万ドル(約259億 円)の減収となった。減収理由について同社では、「NZドル高の影響および販売量の低下 が原因」と述べている。一方、販売コストを大幅に削減したことなどにより税引き前利益は 5,200万ドル(39億円)と、前年同期の900万ドル(約7億円)を上回った。また、財務面で は5億3,000万ドル(約398億円)以上負債を削減し、財務体質を強化した。これらの結果、 乳価(乳固形分ベース)を当初予定していたものより20セント高い、キログラム当たり4.15 NZドル(約311円)に引き上げる見通しができたとしている。さらに同社では、収益の向上 を図るため、中国市場への進出や高付加価値の製品開発などに取り組むとしている。 【シドニー駐在員 井上 敦司 平成16年2月18日】
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