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米国衛生当局がフランス食肉加工会社11社を調査
フランス農業省は2月24日、米国がフランス産食肉加工品(豚肉加工品、フォアグラ など)の輸入を一時停止する措置を発表したことについて、遺憾のコメントを発表した。 米国衛生当局は本年1月15日から2月5日までの間、米国への輸出ライセンスを持つ フランスの11社の食肉加工品会社など(豚肉加工会社2社、豚のと畜場1社、フォアグ ラ製造業者8社)について、食品の衛生管理体制などについて検査を行った。この結果、 米国衛生当局は、調査した11社のうち、3社について危害分析重要管理点監視方式(H ACCP)の基準に適合しないことが明らかとなったので、フランス産食肉加工品の輸 入を一時停止する措置を発表した。 早期輸出再開に向けて協議を継続
今回の措置に対しフランス農業省は、「フランスは、米国の行った調査の結果も、米 国が採った措置も受け入れることができない。食品の衛生管理について、米国の調査団 に立ち会ったフランス当局の職員によると、何も問題はなかった」と米国の判断に反対 するコメントを発表している。 また、ゲマール農業大臣は、欧州委員会のバーン委員(保健・消費者保護担当)など とも連絡を密にし、米国との食品の安全に関する基準を擦り合わせるとともに、米国へ のフランス産食肉製品の早期輸出再開に向け米国当局と協議するとコメントしている。 食肉加工業界も遺憾のコメントを発表 フランス食肉加工業協会(FICT)も、「すべての工場ではEUおよびフランスの 規則に基づき検査を実施している」と米国の措置に対して遺憾のコメント発表している。 なお、フランスフォアグラ協会(CIFOG)によると、2002年のフランスから米国 へのフォアグラの輸出量は55トンと少ないが、輸出額は、185万3千ユーロ(約2億5千 万円:1ユーロ=134円)と生産者に与える影響は大きいとしている。 ◎ EU、米国からの輸入品に制裁関税を適用 欧州委員会は3月1日、米国が実施している輸出優遇税制(FSC)が、世界貿易機 関(WTO)から協定違反と認定されたにもかかわらず、同制度を廃していないことへ の対抗措置として、EUは米国からの輸入品に対して制裁関税を適用した。 WTOは2003年5月、FSCがWTO上違反であり、EUが制裁関税として40億米ド ル(約4,400億円:1米ドル=110円))まで課税することを認めていた。欧州委員会は 12月8日、米国からの輸入品に制裁関税を課す委員会規則(EC/2193/2003)を制定し、 3月1日から適用するとしていた。ただし、同規則では、米国がFSCに関する改善策 を行った場合は、この規則を廃止することとなっている。しかし、米国が、FSCに関 する改善策を採らなかったため、3月1日以降にEUに輸入される米国製品などについ ては、制裁関税が課されることとなった。 これは、通常の関税のほかに制裁関税として3月には5%を加え、4月以降、毎月1 %ずつ増加し、17%まで引き上げて課税するというものである。委員会規則で、対象と なる輸入品が定められており、畜産物では食肉、乳製品などが対象となっている。例え ばはちみつでは、通常17.3%の関税であるが、制裁関税5%を加え、22.3%の関税が課 されることとなる。 【ブリュッセル駐在員 山ア 良人 平成16年3月3日発】
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