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大豆生産、大幅に減産予測(ブラジル)


  
2003/04年度の主要穀物生産は一転して減少へ 

  本年度の大豆生産は、米国の天候不順による減産分をブラジルやアルゼンチンなどの南米地域に
おける生産量の増加で世界需要を賄うと予測されていたが、1月から始まり2月以降深刻化した南
米における天候不順により、生産量の減産が予測され大豆価格が上昇傾向にあった。

  このような中、4月28日ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は、2003/04年度の第4回主
要穀物生産状況調査の結果を発表した。この調査は4月12〜16日に全国の主要生産地帯を対象に油
糧種子を含む14品目の主要穀物について、天候不順等による被害状況と冬期作物の作付意向調査を
目的に実施された。

  作付面積は前年度の4,395万ヘクタールを296万ヘクタール、6.7%上回る4,691万ヘクタールで
あるが、生産量は前年度の1億2,317万トンを310万トン、2.5%下回る1億2,006万トンと作付面
積は増えるものの、生産量は減少する予測となっている。

  また、本紙通巻第615号で既報した第3回の生産量予測の1億3,083万トンより1,077万トン、
8.2%の減少となっている。これは主要生産地帯における天候不順による被害に基づくもので、南
部およびマットグロッソドスル(MS)州における長期乾燥、中西部、特にマットグロッソ(M
T)州における過剰な降雨によるためである。

    

大豆の減産が全生産量減少に大きく影響

  大豆の作付面積は前年度を 265万ヘクタール、14.3%増加する 2,112万ヘクタールに達するに
もかかわらず、主要生産地帯における長期乾燥や降雨過剰などの天候不順、アジアさび病のまん
延により1へクタール当たりの収量が前年度の2,816キログラムを15.6%下回る2,376キログラム
に低下したことから、本年度の生産量は第3回調査で予測されていた5,767万トンの記録的な生産
量からは748万トン下回る、また前年度の5,202万トンからは183万トン下回る5,019万トンと予測
され、全穀物生産量の低下の決定的な要因となった。

  大豆の収穫は、調査時点ですでに全国の82%が終了しているため、今回の予測数値は今後大き
く変動することは考えられず、供給量の減少と国内在庫の低下は避けられない状況となっている。

  主要生産地帯の中では南部のリオグランデドスル(RS)州の被害がもっとも大きく、作付面
積は前年度比36万ヘクタール、10%増の395万ヘクタールとなったものの、生育時期における長
期の乾燥により1ヘクタール当たりの収量は前年度の2,680キログラムから47.8%低下し1,398キ
ログラムとなったため、生産量は前年度の 963万トンから410万トン、42.6%減の 553万トンとな
った。この他中西部に属するMS州においても同様の理由により1ヘクタール当たりの収量が
34.6%低下している。また同中西部にある国内最大の生産州MT州では早生種大豆の収穫時期に
過剰な降雨があったため、多大な被害をもたらしたと報告されている。



トウモロコシは第3回調査結果よりさらに減少

  トウモロコシについては第3回調査に引き続き減産予測であるが、さらにその傾向が強まり作
付面積は前年度1,323万ヘクタールから52万ヘクタール、4.0%減の1,270万ヘクタール、生産量
は前年度4,741万トンから474万トン、10.0%減の4,267万トンとなっている。このうち第1期作
の作付面積は大豆に押されたものの前年度比1.9%減の948万ヘクタールであったが、天候不順に
より生産量は前年度3,461万トンから4.9%減の3,293万トンとなった。特に南部にある主要生産
州RS州では大豆と同様、長期の乾燥により1ヘクタール当たり収量が前年度3,750キログラム
から18.7%減の3,050キログラムとなっている。また第2期作は小麦に押されるとともに、主要
生産州(パラナ(PR)、MSなど)では降雨不足により作付けを困難とする状況にあり、作付
面積は前年度356万ヘクタールから9.5%減の322万ヘクタール、生産量は1へクタール当たり収
量の低下予測に基づき前年度1,280万トンから23.9%減の974万トンとなっている。しかしなが
ら市場在庫の減少や輸出増加などから、4月には国内価格が上昇しているため、第2期作への関
心は高くなっており、またCONABでは米国における需要増加とEUの生産減少による輸入増
加見通しから、ブラジルが国際市場でシェアの拡大を図る絶好の機会であるとしており、そのた
めには生産性の向上と対外競争力強化のため流通に関するインフラ整備へ投資する必要があると
強調している。




【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成16年5月5日発】 


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