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QLD州を除き飼養頭数は増加 豪州フィードロット協会(ALFA)は5月10日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)と の共同調査による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査の結果を発表した。これによ れば、総飼養頭数は2004年3月末時点で67万頭と、前回調査(2003年12月末時点)から2% 増加した。 フィードロット飼養頭数を州別に前回の12月末と比較すると、クインズランド(QLD)州 を除くすべての州で増加した。ビクトリア(VIC)州をはじめ南部州で飼養頭数が大幅に増 加しており、放牧の最適期の終わりを迎え、フィードロットへの導入が促進されるという伝統 的な今四半期の季節的な傾向が表れている。 また、今四半期の出荷頭数は557,812頭と、前四半期の467,139頭から19%も増加した。 ALFAでは、@米国のBSE問題の影響による日本と韓国からの強い需要が出荷増の主な 要因とするとともに、AQLD州以外のすべての州、特に南部州の多くの地域で引き続いた干 ばつのため、出荷頭数以上の牛がフィードロットに導入されたものと分析している。 一方、全般的な増加に対する例外となったQLD州では、規模の大小を問わず14%の減少を 示した。ALFAでは、@同州の良好な季節状態による放牧に適した環境が継続したことや、 A肥育素牛の導入増を可能にする安定した長期契約を結べなかったことから、導入が進まなか ったとみている。ただし、同州の飼養頭数は、今後、乾燥した冬の気候が定着するにつれて伝 統的な傾向で増加することを予想している。 通常の仕向け構成も日本向けは2%減 フィードロットの収容可能頭数に対する稼働率は全体で72%と前回調査と同水準であるが、 ここでもQLD州は前回の81%から67%と14ポイントも減少した。 仕向け先別に見ると、輸出向け飼養頭数が41万頭でフィードロット飼養頭数全体の62%、国 内向けが24万9千頭で同37%と数字的にはほぼ前回同様で、日本向けは2%減少したものの輸 出向けが国内向けを上回る通常の仕向け構成と言える。 稼働率向上の余地も課題は長期契約か 今回の調査結果についてALFAでは、@明らかに季節的な影響が表れたものであるが、同 時にA米国における牛海綿状脳症(BSE)問題を反映し、米国がアジア市場に復帰するまで の間の不確実性も色濃く出たものと総括している。 今後についてALFAでは、@「干ばつは豪州北部のいくつかの地域と南オーストラリア州 からVIC州にわたる地域では緩和したが、牧草の成長がない冬が始まり、多くの生産者が困 難な状況に直面する可能性がある」とフィードロットへの導入増の見込みを示唆するとともに、 A「フィードロット産業は、飼養頭数を増やすために十分な能力を持っており、もし安定的な 契約が多く実現するなら、国内市場だけでなく日本や韓国のような高級な輸出市場に対する生 産を増加することができる」と潜在的な増産能力を強調している。 【シドニー駐在員 粂川 俊一 平成16年5月12日発】
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