ALIC/WEEKLY


第7回国際水牛会議開催(フィリピン)


国際水牛会議開催

  10月20日から3日間、フィリピンの首都マニラで第7回国際水牛会議が開催された。これはFAO
(国連食糧農業機関)、ILRI(国際畜産調査研究所)、同国農務省などの共催によるもので、
3年ぶりの開催となった。

  会議は20日に主催者の一つであるフィリピンカラバオセンター(PCC)所長のあいさつに始ま
り、ILRI担当者による世界的な水牛産業の動向が説明された。これに続いて水牛産業の発展の
現状、水牛を取り巻く最新の知見(繁殖技術、飼養管理技術や疾病対策、肉牛産業としての可能性
など多岐にわたる)が紹介された。

  FAOの統計(1990〜2003年)によると、水牛肉生産で全世界のおよそ半数を占める中国が肉の
生産では最大で、その他を中東諸国やインドが占める。また同推計によると全世界で飼養されてい
る水牛およそ1億7千万頭のうち97%はアジア地域で飼養されているとされた。このような中フィ
リピンは、水牛肉生産量では世界8位、全体の2%を占めるとされた。

  なお90年代後半からインドの水牛肉輸出が急速に増加しているのが特徴的である。
  
  また、水牛乳生産としてはインドが65%と世界最大で、続いてパキスタンが26%、中国は4%とさ
れる。

  会議での発表者はこのような各国の振興状況を反映し、その多くはインドや中東諸国であったほ
か、中国、イタリア、ブルガリア、中南米などからの参加がみられた。また日本からも多くの研究
者の参加があった。


養牛の多面的機能に注目

  フィリピン農業統計局が発表した最近の牛および水牛の飼養状況によると、2002年の水牛頭数は
312万頭、牛が255万頭とされており、そのほとんどが農村部の小規模農家で飼養されている。所得
格差が著しい同国においては、農村振興対策の手段として伝統的に役畜として飼養するなど、多面
的機能を有する養牛に対する期待が大きく、政府は零細経営に対する所得向上対策として水牛や牛
に関する各種振興対策を講じている。



水牛振興の現状

 同国の水牛振興は農務省の下部組織であるPCCが担当しており、現在の振興目標は主に小規模
農家の収入向上のために増体・泌乳量に優れたムラー(河型)水牛と在来のスワンプ(沼型)水牛
の交配によりF1を作成することで生産性の向上を図るとされている。ルソン島中部のヌエバ・エシ
ハにあるPCC本部では生乳生産性向上を目的として1995年以降ブルガリアからムラー水牛の素畜
を導入して純粋種として改良を行っている。 一方、肉生産性向上を目的として1994年、PCC所
属のストックファームに米国からムラー水牛を導入している。遺伝的にはインド産水牛が高い能力
を持っているとされるが、口蹄疫清浄国ではないため、同清浄国であるブルガリアなどからの生体
導入がなされた。

  F1を作成・普及する上では、技術的な問題などによる受胎率の改善など解決すべき課題が多く、
一方、水牛振興を図る地域ではコールドチェーンの不整備により流通が極めて限定的となる。また
従来、水牛に求められていた位置づけとして役畜としての飼養があり、同国では1998年にと畜制限
が解除されるまで、たびたびと畜制限年齢が変更されてきた。このように、従来は水牛肉として流
通するものは役畜として使われ、年齢を重ねたものに限定されて来たため水牛肉に対するイメージ
が「堅くてまずいもの」とされた経緯があり、今回の会議では水牛肉の試食会など、消費拡大のた
めのプロモーションも一部なされた。






【シンガポール駐在員 木田 秀一郎 平成16年10月28日発】 

元のページに戻る