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2004/05年度の主要穀物生産状況調査を発表(ブラジル)


  
作付面積、生産量ともに前年度を上回る予測 

  ロドリゲス農相は10月27日、ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)が10月3〜9日に、中西部、
南東部、南部、バイア州西部の主要生産地帯において行った2004/05年度主要穀物生産状況に関する第
1回調査結果を発表した。なお、調査対象の作物は、油糧種子を含む14品目となっている。生産状況
調査は、一農年期の作付けから収穫に至る間に5〜6回程度行われるもので、第1回調査は当該農年
度の生産状況を推測する上で基礎となる作付意向調査である。

  調査結果によると 2004/05年度の作付面積は前年度の4,755万ヘクタールを0.8〜2.2%上回る4,793
〜4,861万へクタール、生産量は前年度の1億1,925万トンを8.1〜9.8%上回る1億2,888万〜1億3,090
万トンと見込まれている。 

  生産地帯の天候は、8〜9月にかけて降雨が少なく2003/04年度の冬期作の収穫には好条件であった
が、2004/05年度の夏期作については作付け作業を遅らせることとなった。しかし10月に入って降雨が
あり、また11〜12月にはおおよそ例年並の降水量が予想されていることから、順調な生育が期待され
ている。

  なお、他の地域と作付時期が異なる北部および北東部の夏期作、2005年に作付ける冬期作について
は、暫定的に2003/04年度の実績が用いられている。



不安定な情勢下でも拡大する大豆生産

  ロドリゲス農相は調査結果において、作付面積の顕著な増加を示しているのは大豆と綿であるとし
ている。

  大豆は例年同様、穀物生産増加の大宗を担っており、作付面積は前年度の2,124万ヘクタールを3.6
〜5.9%上回る2.200〜2,248万へクタール、生産量は前年度の4,977万トンを19.6〜22.2%上回る5,952
〜6,081万トンと史上最高の生産量を予測している。このことについてCONABは、「大豆の作付け
が拡大しているのは、ほかに魅力的な作物がないためである。特に大豆と作付時期が競合するトウモ
ロコシの取引価格は安値で安定しており、代替する作物とはならない」としている。

  またCONABは「米国が10月に大豆生産量を前年より27%増の8,456万トンと大幅な増加見込みを
発表したため、シカゴの大豆価格は1ブッシェル当たり過去数年間の平均の 6.00ドルを下回る5.10ド
ル(約546円、1ドル=107円)に落ちている。米国における収穫が70%以上終了しようとしている現
在、これから作付けを開始するブラジルの生産者の不安は大きい。」としている。

  なお、2004/05年度において遺伝子組み換え(GM)大豆の作付け・販売は暫定令第223号(2004年
10月14日付け)により承認されているところであるが(http://www.alic.go.jp/livestock/repnews/old/repnews200410.html#5)、
ロドリゲス農相によれば今年度はGM大豆が1,200万トンに達すると予測されており、全大豆生産量が
6,000万トン前後であることを考えれば、約5分の1がGM大豆になることになる。


  
トウモロコシ、作付面積減少するも生産量は増加する予測

  夏期作トウモロコシの作付面積は、前年度の947万ヘクタールから1.6〜2.4%下回る924〜932万ヘク
タール、生産量は前年度の3,162万トンから2.0〜3.2%上回る3,224〜3,262万トンになると見込まれて
いる。

  トウモロコシは、米とフェイジョン豆とともに作付面積が減少する作物と農相は説明している。こ
れはトウモロコシの最大の生産州、南部のパラナ州において取引価格の低いトウモロコシを避け大豆
を選んだことが主な要因とされている。しかし南部全域、特にリオグランデドスル州では1ヘクター
ル当たり収量が増えることが予測され、面積は減少するものの生産量は増加する見込みとなっている。

  ロドリゲス農相は「これに加え冬期作が前年度並であるならば、2004/05年度の生産量は4,271〜
4,309万トンと2003/04年度の4,209万トンを上回ることになる。」としているが、作付けは始まった
ばかりであり、また冬期作の作付けまでに取引価格がどのように推移するかなど、不確定要素が多い
ところである。





【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成16年11月1日発】 



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