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輸出向けのみ登録の義務付けを継続 ブラジル農務省が10月29日付け官報で公布した訓令第77号によると、牛(水牛を含む)の個体識別制 度(SISBOV)への登録義務は輸出向け牛に限定され、輸出認定を受けた食肉パッカーでと畜され る牛の全国データベースへの登録期間は40日間以上となった。さらに今回の規則で、国内で実施される 競売、フェアおよび品評会に参加する牛のSISBOVへの事前登録義務が免除された。また、輸出向 けに認定されていない食肉パッカーでと畜される牛に対しての登録も義務付けないとしている。 10月末現在、約3,500万頭がSISBOVに登録されている。 関係団体等の要請により変更 SISBOVは2002年1月9日付け訓令第1号で制定され、@EU向けの生産農場は2002年6月末まで、 AEU以外の国々へ輸出する生産農場は2003年12月末まで、B口蹄疫清浄地域および同ステータス認定 を申請中の地域の農場は2005年末まで、Cそれ以外の地域にある農場は2007年末までに同制度へ登録す ることが義務付けられた。その後2003年12月に、Aについては2004年3月15日までの登録に変更された。 また、訓令第88号(2003年12月12日付け)により、データベースへの登録期間が、2004年6月以降は90 日間とされるなど、これまで数回にわたって制度の改正などが行われた。 ブラジル全国農業連盟(CNA)では、生産者がSISBOVの導入に対応することに技術的・経済 的な問題から困難を感じており、ブラジルの牛肉輸出に障害をもたらす可能性もあるとし、5月末に開 催された会議において@90日の登録期間についての施行期限を延長し、A口蹄疫清浄地域および口蹄疫 清浄地域および同ステータス認定を申請中の地域の農場は2005年末まで、それ以外の地域にある農場は 2007年末までという導入スケジュールを再度議論する必要がある−とした内容の提案をまとめ、農務省 に提出した。 また、国会議員の中からも、国内向けの牛についてのSISBOVへの登録義務の必要性を疑問視す る声が上がり、SISBOVの新たな基準設定のため、農務省、下院および民間からなるワーキンググ ループが6月に設置され、検討が行われてきた。今回の決定は、このワーキンググループの最終報告に 基づいたものである。 ワーキンググループはさらに口蹄疫ワクチン接種清浄地域の生産者は2005年までに、また、全国の生 産者は2007年までにSISBOVを適用する義務を廃止することを決定し、今後、全国アグリビジネス 審議会(CONSAGRO)に直属する牛肉生産チェーン評議会において討議されることとなっている。 なお、CNAによると、ブラジルの1〜9月の牛肉輸出量(枝肉重量ベース)は前年同期比43%増の 133万トン、輸出額は同77%増の17億9千万ドルとなった。国別の輸出額では、オランダ、ロシアがそれ ぞれ約1億7千万ドル、チリが1億6千万ドルとなっている。年間では170万トン、23億ドルを見込んで いる。 ◎今年最後のワクチン接種を実施 農務省農牧防疫局によると、ブラジル国内の15州で11月1日、今年最後の口蹄疫ワクチン接種キャン ペーンが開始され、全飼養頭数1億9千万頭の約6割に当たる1億頭が対象となる。ブラジルの全飼養頭 数の約8割が口蹄疫ワクチン接種清浄地域で飼養されており、これにより輸出を拡大しつつある。 一方、ロドリゲス農相は、国内で口蹄疫を撲滅するには、公的獣医サービスを強化し、民間が口蹄疫 撲滅プログラムに深くかかわること、さらに隣国と統合した衛生対策を行うことが必要であると強調し 、国内の口蹄疫撲滅が同相の最優先課題の一つであると位置付けた。 【ブエノスアイレス駐在員 横打 友恵 平成16年11月10日発】
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