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欧州会計検査院、ＣＡＰの不適切な補助金について報告

総額は30年間で４千億円超

  欧州会計検査院はこのほど、「共通農業政策（ＣＡＰ）に基づいて支払われた不適切な補助金の回収
について」という報告書を公表した。これによると、ＣＡＰに基づいて支払われた補助金のうち、不適
切なものとして1971年以降欧州委員会に報告されたものの総額は、2002年末現在において、31億３千９
百万ユーロ（約4,269億４百万円：１ユーロ＝136円）となっている。



全体の75％は、未解決　

  加盟各国は、ＣＡＰに基づいて支払われた補助金のうち、4千ユーロ（約54万４千円）を超える不適
切な支払いを見つけたときには、欧州委員会に通知するとともに、その補助金相当額を回収する義務が
ある。なお、回収が不可能な場合は、関係する加盟国の過失による場合を除き、当該補助金相当額は回
収不能として帳消しとなり、その損失は、ＥＵが負担することとなっている。

  不適切なものとして報告されたものの総額のうち、５億３千８百万ユーロ（約731億６千８百万円）
は補助金受給者から既に回収され、また、２億５千２百万ユーロ（約342億７千２百万円）は、ＥＵと
加盟国の負担となった。

  なお、不適切な支払いであると報告されたもののうち約75％（23億４千９百万ユーロ、約3,194億６
千４百万円）は未解決のままである。

  不適切であると報告された支払いを内容別にみると、果物・野菜への補助や輸出補助金に係るもので
全体の過半を占めている。一方、バターや牛肉への輸出補助金などについての事例が高額不適切支払い
リストに挙げられている。また、不適切な支払額を加盟国別にみると、イタリアが最も多く17億３千５
百万ユーロ（約2,359億６千万円）となっており、全体の約55％を占めている。また、ドイツ（４億３
百万ユーロ、約548億８百万円、全体の約13％）、スペイン（２億６千４百万ユーロ、約359億4百万円、
同約８％）がこれに続いている



現行システムの改善を要求　

  一方、欧州会計検査院は、加盟各国の報告に時間がかかっていること、報告されたデータとこれを基
に作成した欧州委員会のデータベースの数値に不一致があることを指摘している。また、補助金の回収
率が低い理由として、加盟各国の行政上の遅れや、当該不適切な支払いに対する法的措置が完了するま
でに回収行為を一時停止していること、さらに、欧州委員会が部分的な返還に抵抗していることなどを
挙げている。

  このようなことから、欧州会計検査院は、欧州委員会に、現行のシステムを改善するため、不適切な
ＣＡＰ補助金についての加盟各国からの報告、回収と帳消しの調整や変更、欧州委員会内部の農業総局
と欧州不正対策局（ＯＬＡＦ）の責任分担の変更などについて検討することを求めている。



◎ 生乳クオータ９カ国が超過

  欧州委員会は10月１日、2003/04年度（４月〜３月）のＥＵ加盟15カ国の生乳供給量の速報値を公表
した。これによると、生乳生産割当枠（クオータ）に対する生乳供給量は、108万9,324トン超過し、こ
れに伴う課徴金が３億8,809万ユーロ（約527億８千万円）となった。

  なお、農家が乳業者へ出荷する「出荷クオータ」を国別にみると、イタリア、ドイツ、オーストリア
など９カ国が合計で107万８千トンクオータを超過した。



【ﾌﾞﾘｭｯｾﾙ駐在員　関 将弘 平成16年10月６日発】

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