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干ばつの影響からの回復は2006年と予測 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は8月24日、豪州牛肉産業の最新中期見通しを発表した。 これによると、2006年には豪州の肉牛産業は干ばつの影響から回復し、その後は順調に拡大していくと 予測している。 飼養頭数は、2004年6月末時点では干ばつの緩和により2,690万頭と前年より0.9%増加し、2006年同時 点では2,820万頭と干ばつ発生以前の2002年の水準に回復するとみている。さらに、その後は順調に拡大 し2008年には2,880万頭となると予測している。 一方、と畜頭数は、2004年は雌牛のと畜頭数が減り牛群の再構築が進むため778万頭と前年に比べ0.4% 減少し、2005年も同様な理由から引き続き低下するが、2006年には牛群の再構築も終了し、804万頭と干 ばつ発生以前の水準に回復すると見込んでいる。 また、牛肉の生産量は、2004年ではと畜頭数が減少するものの1頭当たりの枝肉重量の増加により、前 年比4.2%増の約205万トンとみている。2005年はと畜頭数がさらに減少するため前年比1.4%減の約202万 トンと見込むものの、その後は年4〜6%の割合で増加し、2006年で214万トンとなり、干ばつ発生以前の 生産量を超える見通しである。 米国産牛肉の解禁予測で2005年の輸出量減少 MLAでは、今回の見通しの中で、米国産牛肉の日本や韓国への輸出再開時期を2005年前半と見込んで いる。 このことから、2004年の輸出量は米国産牛肉の輸入停止による需要増から前年比5.9%増の890万トン (船積みベース)と大幅に増加するが、2005年では3.4%減の860万トンとみている。2006年からは強い需 要に支えられて輸出は大きく伸び、2008年に初めて100万トンを超える輸出量になるとみている。 2005年の輸出量が2003年の米国産牛肉輸入停止前の数量まで減少しない理由について、MLAでは、米 国向けに関しては、同国内のキャトルサイクルによる牛肉の低い供給量と強い需要を背景に、豪州産牛肉 の関税割当枠(TRQ)の拡大とともに輸出量の増加が見込まれることや他のアジア諸国の需要増も期待 できることに加え、米国産牛肉解禁後でも日本や韓国市場で新たに獲得した顧客の一部に供給を継続でき ることも一因と述べている。 国別にみると、日本向けは2004年が34.3%増の37万5千トン、2005年は18.7%減の30万5千トンとみて いる。米国向けは2004年が3.7%減の35万5千トン、2005年が7%増の38万トン、韓国向けは、2004年が 36.4%増の8万5千トン、2005年が17.6%減の7万トンとみている。 2004年の輸出量の9割以上が米国、日本、韓国の3カ国で占められる見込みであることから、MLAで はこれらの国との間で貿易上何らかの障害が起きた場合、大きな影響を被る恐れがあるため、輸出先の多 様化を図る必要もあると指摘している。 また、現在高騰している輸出価格は、米国産牛肉の解禁後は大幅に下がることが見込まれるが、少なく とも米国のBSE発生前の水準は維持するとみている。その後は内外の需要の強さから好調に推移してい くとしている。 国内市場は引き続き好調を維持 一方、国内市場では、品質や販売戦略、健康イメージの改善から牛肉需要が高まってきている。小売価 格は過去5年間で約45%上昇したものの、消費は落ちておらず、今後も引き続き消費が堅調に推移すると 見込んでいる。 ただし、農家経営については、現在販売価格が好調であるにもかかわらず、干ばつの影響による肥育素 牛不足に起因するコスト増などから、ここ数年は収益が押さえられた状態が続くとみている。
【シドニー駐在員 井上 敦司 平成16年9月8日発】
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