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全国農相会議、干ばつ対策の見直し案を実質先送り(豪州)


FTA交渉を積極推進、干ばつ対策は先送り

  連邦政府と豪州各州(準州を含む)政府の第一次産業大臣による「第一次産業大臣会議」が4月14日、北部準
州の州都ダーウィンで開催された。8回目となる今回の会議では、@農業貿易に関するFTA交渉の結果や今後
の取り組み、A連邦政府による干ばつ対策の見直し、B動物福祉問題―などを中心に論議が交わされた。主な議
題と概略は次のとおり。



 ○農業貿易問題

   2005年1月に発効した米国およびタイとのFTAによる農産物輸出市場の拡大、また、ASEAN、アラブ
 首長国連邦とのFTA交渉進展について各州政府から歓迎の意向が示された。さらに、中国、マレーシア両国
 とのFTA交渉については、農業および食品製造業にとって大きな輸出機会が得られることから、より積極的
 に推進することで意見が一致した。WTO交渉については、連邦政府の努力に理解を示すものの、早期の交渉
 終結に向けて喚起を促した。


 ○干ばつ対策の見直し
  
   先に連邦政府が発表した干ばつ支援対策の見直し案(海外駐在員情報第669号参照)について議論が交わされ
 、例外的環境(EC)認定地域の評価認識の違いや財政負担などから、連邦政府と州政府との間で意見の相違
 があり、これらについては、@EC認定地域の評価を2006年7月まで継続的に調査する、A見直し案に基づく
 連邦政府と州政府の費用負担割合については、2005年10月に再考する −のみについての合意となり、実質的な
 見直しは先送りの形となった。


 ○動物福祉問題

   動物虐待であるとして豪州産羊毛の不買運動にまで発展した羊のハエ防止用手術について、2010年までの段
 階的廃止を決定するなど、現在の動物福祉に対する取り組みが確認され、各州政府は、これら問題への関与を
 積極的に行うことで一致した。

 
 ○その他

  2005年3月に行われた豪・ニュージーランド食品規則閣僚会議(ANZFRMC)の概要が報告され、酪農
 部門や鶏肉など第一次産品基準の状況について確認した。また、2005年2月をめどに進めていた第一次産業へ
 の効果的投資についての調査報告が委員会より提出され、各州大臣は委員会に対し、その枠組みと実行計画を
 2006年内に報告するよう要求した。



◎豪州北部で広がる干ばつ、肉牛生産に影響も

 今年に入り豪州の北部一帯を中心に広がりを見せる干ばつは、地域の肉牛生産などに影響を与え始めている。
国内の肉牛市場では、干ばつにより生産者が若齢牛を中心に出荷を早めていることから、高水準で推移してい
た市場価格は出荷頭数の増加により下げに転じ始めている。また、干ばつにより例年に比べ肉牛の品質が劣る
ことも、これをさらに加速させている。

  豪州気象庁が発表した最新の3カ月予報によると、クインズランド州南部やニューサウスウェールズ州では
、60〜65%の確率で平年並みの降雨量が期待できるものの、他の州や地域については平年を下回るとしている。
 
  好調な牛肉輸出を背景に増収が続く肉牛生産者にとって、予断を許さない状況となってきた。

【シドニー駐在員 横田 徹 平成17年4月19日発】  
 

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