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欧州委、2005年から2012年までの見通しを公表


 

牛肉は減少、豚肉は安定、チーズは増加

  欧州委員会は7月29日、2005年から2012年における欧州連合(EU)の穀物、食肉および牛乳・乳製品などの
主要農産物の需給に関する中期見通しを公表した。これを前回の見通し(本年1月公表)と比べると、牛肉の生
産量はより減少し、豚肉の生産量はほぼ同水準になるとしており、また、チーズの生産量はより増加すると見通
している。

  なお、この報告書は、2005年5月時点で入手可能な統計情報を基に見通しを行ったものであり、2003年6月に
合意された共通農業政策(CAP)改革の実施などを考慮に入れており、さらに中期見通しの期間を通じてウル
グアイラウンド農業合意が継続することを前提としている。



主な畜産物に関する見通し 

  主な畜産物の需給に関する見通しは以下のとおり。

 @牛肉:イギリスにおいて30カ月齢超(Over thirty Months :OTM)の牛の処分対策が2006年初めに終了す
     ること、生産と切り離した単一の直接支払い(デカップリング)の開始による繁殖雌牛頭数の削減に
     よると畜頭数の一時的な増加により、短期的には生産量は増加する。しかしながら、肉用牛に対する
     デカップリングの実施と穀物価格の上昇により、非効率的な経営における生産が減少することから、
     牛肉生産量は中期的には減少傾向で推移し、前回の中期的見通しに比べても、さらに下回るものとな
     ると見通している。一方、牛肉の消費量は減少傾向にあるものの、BSE問題の再燃による牛肉消費
     の大幅な減少が見られた時期の以前の水準に戻り比較的安定して推移していることから、消費が生産
     を上回って推移し、このため前回の中期的見通しに比べより多くの牛肉を輸入すると見通している。

 A豚肉:生産は、EU域内および域外の好調な需要に支えられ、90年代に比べそのスピードは落ちるものの引
     き続き増加すると見通している。また、この見通しの期間におけるEU域外への輸出量は、131万トン
     から134万トンと安定して推移すると見通している。

 B鶏肉:他の食肉と比較して安いこと、EUの消費者の好みに合っていることから、生産、消費ともに順調に
     伸びると見通している。一方、輸出は、生産コストが低い国との競合や、為替の影響から停滞し、逆
     に輸入は長期的には増加し、特に加工済み製品の輸入が増加すると見通している。
 
 C乳製品:生乳生産割当枠(クオータ)制度の下、クオータが拡大することから生乳の生産量はわずかに増加
      するものの、1頭当たりの搾乳量が増加することから搾乳牛の頭数は2005年の2,300万頭から2,120
      万頭まで減少すると見通している。チーズは、域内、とりわけ新規加盟国における消費量の拡大な
      どから生産が拡大する。一方、バターおよび脱脂粉乳については、チーズの生産が拡大すること、
      市場価格の低下および介入買い入れ価格の引き下げなどから生産量が引き続き減少し、その結果輸
      出量はバターにあっては2005年の35万トンから2012年の19万3千トンへ、脱脂粉乳にあっては2005
      年の25万トンから2012年の11万7千トンへそれぞれ大きく減少すると見通している。



【ブリュッセル駐在員 関 将弘 平成17年8月3日発】 



  

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