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2004年の農業生産は5.1%の伸び(フィリピン)


2004年の農業生産は5.1%の伸び

  フィリピン農務省は、1月中旬、2004年の農業生産額(水産を含む)を公表した。それによると、イ
ンフレの影響を補正するため、85年の価格で比較した場合、前年に比べて5.1%の伸びとなった。内訳で
は、水産部門が10%に迫る伸びを示し、作物部門が約4.9%の伸びであったが、畜産部門では畜種によっ
てはマイナスを示し2%の伸びと振るわなかった。

 四半期ごとの農業生産額の前年同期に対する伸び率は、第1四半期から、7.9%、4.5%、7.3%と推移
したが、第4四半期には1.4%と低下した。この原因は、大型の台風が11月と12月に相次いで襲来したた
め、水産部門などに影響が出たものとされている。


畜産部門は低い伸び

 畜産部門が全体を下回る低い伸びにとどまった。中でも生産額が同部門の4割近くを占める養豚の生
産が前年に比べて減少した。この原因は飼料原料価格の上昇により生産コストの増大が収益を悪化させ
、生産意欲を減退させたと考えられている。

 飼料の主要原料のトウモロコシ価格が高値で推移するとともに、輸入に依存する大豆かすにおいては、
2004年の前半に国際相場が上昇した。これに加えて、為替がペソ安傾向で推移したため、他の輸入原料
とともにコストの上昇につながったと見られている。
 
 一方、豚の農家販売価格は2003年の1キログラム当たり52ペソ(99円:1ペソ=1.9円)が2004年では
69ペソ(131円)となり、生産量はやや減少したものの、生産額が前年比で3割以上も増加する結果とな
った。

 これは、周辺国で発生した鳥インフルエンザに関する報道によって豚肉に対して代替需要が発生した
ものの、供給は増加しなかったため、高価格が続いたとされている。

 家きんも畜産の生産額の35%を占めるが、アヒルの生産が減少したこともあり、家きん全体では前年
比3.4%の伸びとなった。これも鳥インフルエンザの影響と考えられている。一方、卵はその影響が少
なかったと思われ、生産量は前年の7.3%を超える増加となった。


トウモロコシ生産の大幅な伸び

 2004年の農業生産の中でもトウモロコシの生産量が前年より17.3%と大幅に増加した。第2次アロヨ
内閣の100日政策において遺伝改良種トウモロコシの作付面積を拡大する方針が発表されたほか、第3
四半期まで天候に恵まれるとともに、価格が高値で推移したため、生産意欲が刺激され、増産につなが
ったと考えられている。

 トウモロコシの農家販売価格を見ると2003年の1キログラム当たり7ペソ(13円)であったものが2004
年では9ペソ(17円)となり、2割以上も上昇した。

  





【シンガポール駐在員 斎藤 孝宏 平成17年2月16日発】 

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