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アルゼンチンの有機生産、減少傾向が明りょう


有機製品の輸出量、初めて減少 

 アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)が公表した「2004年におけるアルゼンチンの有機生産の状況」
によると、生産面積は前年比10.9%減の243万4千ヘクタール、有機農畜産物および加工製品を合計した有機製品の
生産量は同5.7%減の4万8千トン、輸出量は同6.0%減の4万6千トンとなった。

  アルゼンチンの有機生産に係る統計は1998年以降公表されており、2002年に初めて生産面積および生産量が前年
を下回り、2003年は生産量は微増したものの、生産面積は引き続き減少した。そして2004年は、過去一度も減少し
たことがなかった輸出量も含め、生産面積および生産量の3項目すべてにおいて減少している。


商業的な有機生産の継続は難しいのか

  また、2004年の追跡調査対象農場数と面積(有機製品として認定を受けるために調査対象として登録されている
農場数と面積)は、2003年の1,781農場、295万1千ヘクタールから1,824農場、278万1千ヘクタールとなっており
、農場数は増えたが面積は減っている。面積が減った理由として有機製品認定機関のOIAは、「@有機製品の国
際価格が下がり他の製品と比べ取引価格に優位性がなくなり、商業主義的に有機農業を始めた農家は離脱した(裏
を返せば信念として有機生産をしている農家は継続)、A大豆サビ病が発生した際、農薬を散布したことにより有
機製品としては認められなくなり、かつ再認定までに数年必要となるためやめた−のではないか」と推測していた。

 また、用途としては例年と同様に輸出用が主であり、主要輸出先はEUである。しかし当初EU向けは農産物等
輸出量の約8割を占めていたが、2004年には68.9%とそのシェアは低下してきている。なお日本向け輸出量は183
トンで、そのうち主なものは濃縮ブドウ汁(モスト)124トン、アズキ59トンとなっている。


有機畜産の飼養頭数は引き続き減少傾向

 有機による家畜の飼養頭数は2003年から引き続き減少している。2003年の牛の追跡調査対象頭数は12万1千頭で
あったが、2004年は対前年6.3%減の11万4千頭、羊は69万6千頭から同7.1%減の64万6千頭に、ヤギは2万5千
頭から同27.2%減の1万8千頭になった。

 なお、飼養頭数が減少していることについてOIAははっきりとは分らないとしながらも、「@大豆生産者に良
い土地を貸した、A干ばつにより有機飼料を購入する必要が生じたが、有機トウモロコシは輸出した方が価格的に
有利で、また飼料を購入できない場合は家畜を移動する必要が生じ費用などがかかり過ぎた」と分析しており、有
機生産を継続することの難しさをうかがわせる回答であった。

 また、有機牛肉の輸出量は2002年の50トンが2003年270トンに急増し、2004年は244トンとなっている。なお、昨
年同様、輸出のほとんどが英国向け(236トン)である。




【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成17年6月29日発】 



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