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EUのBSE陽性牛頭数、大幅に減少


EU全体で37%の減少

  欧州委員会は7月13日、2004年にEUの各加盟国において実施されたBSE検査の結果を公表した。これによ
ると、従来からの加盟15カ国においては、BSE検査の結果、陽性となった牛の頭数は、2003年の1,364頭から
2004年の838頭と、前年に比べ39%の大幅な減少となっている。また、昨年5月にEUに新たに加盟した10カ国
に係る分を含めたEU25カ国全体では、2003年の1,376頭から2004年の865頭と、同様に前年に比べ37%の大幅な
減少となっている。

 これは、一定月齢以上の通常にと畜された健康な牛約955万頭および一定月齢以上の農場内で死亡した牛や緊
急にと畜された牛などのBSEのリスクがある牛約148万頭を含むEU25カ国合計で約1,105万頭について実施し
たBSE検査の結果である。検査頭数はEU25カ国合計では前年の2003年とほぼ同じ数である。



ドイツおよび新規加盟国では増加

 陽性牛の頭数を加盟国別に見ると、従来からの加盟国では、イギリスが依然最も多く343頭を記録しているも
のの、前年に比べ44%減少している。これにスペインの138頭、アイルランドの121頭、ポルトガルの91頭が続い
ており、これらの加盟国ではそれぞれ前年に比べ20%、35%、32%の減少となっている。このような中、従来か
らの加盟15カ国では、唯一ドイツにおいてのみ陽性牛の頭数が増加しており、2004年には前年に比べ2割増加し
65頭となっている。このようにドイツにおいて陽性牛の頭数が増加したことについて欧州委員会は、全家畜に対
する肉骨粉給与の禁止措置が導入される前の98年から2000年に生まれた牛からBSE陽性牛が2004年の前期に多
く発見されたためであると説明している。さらに2004年の後半には陽性牛の頭数は減少傾向にあったと説明して
いる。なお、ギリシャ、ルクセンブルグ、オーストリア、フィンランドおよびスウェーデンにおいては、2004年
にBSE陽性牛は検出されていない。

  一方、新規加盟国10カ国の中ではチェコ、ポーランドおよびスロベニアでBSE陽性牛が検出されており、こ
れらの加盟国ではいずれも、その頭数が前年を上回っているものの、数は比較的少なく、これらの国の中ではポ
ーランドの11頭が最大である。

 
陽性牛の月齢は上昇

  2004年における検査の結果、BSE陽性牛となった牛の月齢は、加盟国によりその分布に幅はあるものの、全
頭が36カ月齢以上であり、そのうち95%が60カ月齢以上であった。また、現在の検査方法を導入した2001年以降
において、陽性となった牛の平均月齢を分類別に見ると、通常にと畜された健康な牛については、2001年は76.2
カ月齢であったが、2004年には95.0カ月齢に上昇した。また、農場内で死亡した牛や緊急と畜された牛などのB
SEのリスクがある牛についても、同様に2001年は88.7カ月齢であったが、2004年には113.5カ月齢に上昇して
いる。
 
  欧州委員会は、BSE陽性牛の月齢が上昇していることについては、これまで実施してきたBSE対策の効果
であり、その結果、若い牛の陽性牛が減少していると説明している。



【ブリュッセル駐在員 関 将弘 平成17年7月13日発】 



  

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