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2005/06年度の冬穀物生産量、大幅減少予測(豪州)


WA州を除き、各州で干ばつの影響顕著

  豪州農業資源経済局(ABARE)は6月7日、四半期ごとに発表している最新の穀物生産予測を発表した。

 今回の報告によると、05/06年度の冬穀物の生産量は、西オーストラリア(WA)州を除く他の州で、干ばつ
の影響から前年度に比べ大幅な減少となると予測している。一方、夏穀物については、作物ごとに生産量が異
なるものの、全体としては前年度並みとなるとみている。

 豪州気象局の最近の予報によると、冬季(6〜8月)の降雨量は平年より少ないと予想されている。報告の
概要は以下のとおり。


  ○冬穀物

 2005/06年度の冬穀物生産量については、豪州東部や南東部の干ばつの影響で、前年度に比べ17%減の2,610
万トンと予測している。予測どおりの生産量となると、干ばつの被害が大きかった2002/03年度の生産量1,740
万トンに次ぐ、過去10年間で2番目に低い生産量となる。

 地域別にみると、WA州は他の地域と異なり降雨量が多く、前年度を上回る生産量が見込まれているが、他
の州の生産量は、干ばつの影響でいずれも減少が見込まれている。それによると、クイーンズランド(QLD)
州やビクトリア州、南オーストラリア州の生産量はそれぞれ、27%、16%、26%減少する見込みであり、ニュ
ーサウスウエールズ(NSW)州に至っては前年度比55%の減少となると見込まれている。

 干ばつの影響を受けている豪州東部や南東部の農家では、雨不足で作付面積を減らす傾向にあり、また、一
部で乾燥した状態での播種が行われたが、成長段階での十分な雨が期待できず、単位当たりの収穫高も減る見
込みである。



  ○夏穀物

 収穫時期を迎えている04/05年度の夏穀物については、全体の生産量は前年度比1%減の347万トンと予測し
ている。

  作物別にみると、家畜の飼料として利用されるソルガムの生産量は、主産地のNSW州やQLD州が干ばつ
の影響を受けていることから前年度比6%の減少が見込まれる。一方、同様な用途の綿実の生産量は、作付面
積が前年比で6割増加したことや収穫時期の高温と少ない降雨量が幸いし、前年度比71%増と大幅な増加が見
込まれる。また、米は、夏季(2月)の気温の低下による生育の遅れから前年度比36%減と見込まれる。



トラス農相、干ばつ被害農家に追加支援策

 このような状況の中、連邦政府トラス農相は5月30日、干ばつ対策として新たに金額にして2億5,000万豪
ドル(210億円、1豪ドル=84円)の追加農家支援策を発表した。

  この内容は、

  @借入金の利子に対する補助金の増額:干ばつによる例外的環境(EC)地域に2年以上認定された地域
    の農家で受給資格があるものは、借入金の利子への補助率を50%から80%に引き上げること。 
  
  A利子補助金の受給農家範囲の拡大:利子補助金を受けられる農家の資格要件である農外資産の上限を21
    万7,500豪ドル(1,827万円)から43万5千豪ドル(3,654万円)に引き上げること。また、農外収入の
    上限を1万ドル(84万円)引き上げること。

  B農家への財務相談の充実など。


【シドニー駐在員 井上 敦司 平成17年6月8日発】  

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