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イギリスの牛乳消費上向く


30年ぶりに消費が拡大

  イギリス酪農振興委員会(MDC:The Milk Development Council)は先ごろ、過去2年間がイギリス国内の
牛乳消費量の最も少なかった時期であり、その後、販売量が着実に増加したことが判明したと発表した。イギリ
スの酪農家にとって、このような消費量の増加は、約4百万ポンド(約7億9千2百万円:1ポンド=198円)
の価値があるものであり、また、30年来続いていた牛乳消費の減少傾向にようやく歯止めがかかり、安定した増
加を示しているとしている。

  この調査は、家庭における主な食料品の購入動向の調査などを行う専門の機関によって、イギリス国内の1万
5千戸について2005年2月末までの約3年間にわたり実施されたものである。


消費の方法、売れ行きに特徴的な動き 

  調査の結果についてMDCは、消費量の増加は、1回当たりの購入量が増加したというよりも、牛乳の購入頻
度が高まったことによるものであること、また、今年の冬におけるオートミールの消費量が前年の冬に比べて25
パーセント増加し、紅茶は同17パーセント、コーヒーは同8パーセントそれぞれ増加しており、このオートミー
ルや、紅茶、コーヒーの消費拡大が牛乳の消費にも大きく寄与したと説明している。
 
  一方、この調査の実施機関は、オートミールなど牛乳を利用する食品の影響というよりもむしろ、販売促進活
動や市場調査などをしっかり行った銘柄化された乳製品の売り上げが非常に大きく伸びていることを指摘してい
る。

  MDCは、このような乳製品の売り上げが伸びているのは、消費者に単に牛乳を飲むことを勧める一般的な販
売促進活動から、特定の製品を特定のグループを対象として集中的に行うように変更したことが効果があったと
している。また、MDCは、消費者は、目指すものを明確に示す消費拡大活動に対し、はっきりとした反応を示
しており、その最も代表的なものが十代の少女を対象とした消費拡大活動であるとしている。この取り組みでは
、少女が十分なカルシウムを今の時期に摂取しないと、将来骨粗しょう症になる危険性が高まることなどを訴え
ている。


牛乳消費の習慣のない人の取込み 

  世の中には、乳製品をほとんど摂取しない人や、摂取を避ける人がいることが判明しており、小さいときに乳
製品を摂取する機会が少なかった専門的な職業(professional)に就いている独身者などの比較的裕福な人々に
そのような傾向があることが分かった。

  MDCは、このような人々は乳製品を摂取する習慣が無いばかりでなく、摂取しない習慣を次の世代に引き継
ぐことになり、乳製品の販売拡大を維持し、将来の消費者を確保するためにはこのような人々を対象にした取り
組みも必要であるとしている。また、このような人々には、一般的な消費拡大活動では働きかけがうまくいかな
いため、彼らに生活においてなぜ乳製品が必要なのかを説明する必要があり、販売促進のための手法を変化させ
なければならないとしている。さらに、「便利」、「革新的」および「習慣」をキーワードとするほかとは別の
取り組みに着手しており、このようなグループの人々にとっては価格ではなく、欲しくなった時に、欲しくなっ
た場所で、彼らが好む形態で供給されることが極めて重要であるとしている。


◎中期予算、合意に至らず 

 EU首脳会議は6月16〜17日に開催され、2007〜2013年のEUの予算の枠組みについても議論されたが、合意
には至らなかった。一方、6月20日に開催されたEU農相理事会では、約1年間議論を続けた、2007〜2013年を
対象とする次期農村地域開発対策について合意した。




【ブリュッセル駐在員 関 将弘 平成17年6月22日発】 



  

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