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SAGPyAは輸出税の撤廃に応じない模様 アルゼンチンの農業団体は政府に対し、大豆などの穀物に係る輸出税の撤廃を、農業フェアなど機会あ るごとに要求してきたが、今年度の収穫時期を迎えさらにその声が強まっている。これに対しアルゼンチ ン農牧水産食糧庁(SAGPyA)のカンポス長官は、輸出税の引き下げや撤廃には直ちに応じる可能性 はないと話している。 農業団体では、大豆などの穀物の国際価格は昨年よりも低下しているとともに、農薬や肥料、ディーゼ ルオイル価格の上昇などによりコストが増加し収益を減少させているため、輸出税の撤廃でより多くの収 益を確保することが目的である。 アルゼンチンでは、2001年の経済危機を契機に、2002年3月から農畜産物などに対して輸出税が課せら れ(本紙通巻第528号を参照)、トウモロコシと小麦には20%、大豆とヒマワリには経済危機以前のものと あわせて23.5%が課せられている。ちなみに食肉(牛肉、豚肉、鶏肉)は5%である。 特にトウモロコシと小麦の収益が悪化と分析 このような中、ブエノスアイレス穀物取引所経済調査部は「パンパ地域の農業における税負担の圧迫」 と題するレポートを2月9日に公表した。これによると1ヘクタール当たりFOB価格に対する輸出税は、 下表のとおり各種税負担の合計のうち6〜7割を占めると試算され、固定資産税が占める割合14〜25%と 比較してはるかに大きくなっている。 また、国内取引価格を基にした試算では、トウモロコシおよび小麦の生産は利益を生まない可能性があ るとしている。このことについて日系の農業資材販売業者に質問したところ、「特に土地を借りてトウモ ロコシと小麦を生産している場合、面積当たりの収量にもよるが、賃借料を払えば利益を計上できない農 家も存在する可能性があるのではないか」との回答であった。 なお、2月11日には、小規模農家により組織されるアルゼンチン農業連合会(FAA)は政府に、中小 規模の農家に対し先進国が導入しているような価格支持制度を、特にトウモロコシと小麦について導入す るよう要請したことを発表した。 ◎ブラジルからの乳製品の輸出についてメキシコと交渉 ブラジル農務省(MAPA)は2月16日、同月21〜25日に動物製品検査部(DIPOA)の部長が率い る政府および民間団体から組織されるミッションをメキシコに派遣し、ブラジルからの乳製品輸出につい て交渉すると発表した。 同部長によれば、2003年にメキシコの質問に対する最初のレポートを提出し、2004年12月には家畜防疫 制度に関する3,000ページにも及ぶ新たな資料を提出しているとのことで、メキシコが最も関心を寄せて いるのは、国際獣疫事務局(OIE)から15州が口蹄疫ワクチン接種清浄地域のステータスを得ている口 蹄疫対策とのことである。また同部長は「メキシコ市場にブラジル産乳製品の輸入を阻む技術的根拠は何 もない。今回は輸入のため、あと何が必要かメキシコの衛生当局に問う」と話している。 ブラジルは乳製品、特に粉乳を主とした輸入国であったが、近年の生産拡大により2004年に初めて輸出 量が輸入量を上回っている。 【ブエノスアイレス駐在員 犬塚 明伸 平成17年2月23日発】
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