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モダリティ合意へ向け決意を表明 欧州委員会のフィッシャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)は2月21日、イギリスのバーミンガム において開催された全国農業者組合(NFU)の年次会議において講演を行った。同委員は、講演の中で本 年12月に香港で開催されるWTO閣僚会合においてモダリティ合意となるよう、農業の分野において、議 論を収れんさせ、自らが対立する意見の橋渡しとなるなど、欧州連合内および他国との協議において、積 極的な役割を果たすことなどの決意を表明した。 交渉相手国にも同様の決意を求める 同時に、同委員は、欧州連合内および交渉の相手国のすべてが、同委員と同じような決意をすることを 望んでいると述べている。さらに、WTO交渉における農業以外の他の分野においても同じスピードで議 論が進んでいくべきであるとも述べている。 一方、先のシアトルやカンクンにおける閣僚会合の経験が、非政府系組織(NGOs)や反国際化運動 団体からの圧力をはじめ、世間の注目を集めながら150余りの国の閣僚が重要分野において大きな妥協を することは非常に困難であることも示唆している。また、もし、香港での会合においてうまく議論が進め ば、モダリティ文書が採択され、加盟各国が提案を行うことができるようになると説明している。 いずれにしても、2005年は、WTO加盟各国が加盟国全体に恩恵のあるモダリティの合意に達すること が可能かどうかについて決断する年であるとしている。 農村開発政策の重要性を強調 同委員は、同講演の中でEU25カ国全体でおよそ1,500万人の雇用のある農業・食料分野において、@農 村開発政策は、農家や再構築を必要としている食品加工業者が、国際的な競争力を得るための支援を行う ものであること、A技術の訓練や、投資支援措置などの農村開発政策が共通農業政策(CAP)の市場志 向性を支えていることなど、CAPにおける農村開発政策の重要性を説明している。 また、同委員は、すべての地方において農村地域を発展させ、農業が真に先取の気性に富んだ産業とな ってもらいたいと考えており、このためには、大学や研究機関と農村の課題や、農村社会を連結させるこ と、さらに、農業者などの能力や技術に関する投資、研究開発の促進、情報や情報通信技術の普及などを 進める考えを説明し、このように重要な農村開発政策の実施のためには、現在欧州委員会が提案している 2007年から2013年の期間における予算の承認が必要であると説明している。 同委員が、予算の承認についての理解を求めたのは、EU加盟国のうち拠出額よりも受け取り額が少な い6カ国が、欧州委員会が提案しているCAP予算額を削減するよう求めているためである。 【ブリュッセル駐在員 関 将弘 平成17年2月23日発】
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